真昼の情事/官能小説


  続・食物循環

                        蛭野譲二

   6.夕食後


  
 夕食は、思いの他和やかなムードが保たれていた。

 飲み物は、冷蔵庫で冷やした枝美子の母乳だった。この時は珍しく枝美子も自分自身のミルクを飲んでいた。この日の枝美子は、喉の渇きが特にひどく、持ち込んだ飲み物を粗方飲んでしまっていたのである。

 健二は、テーブルに置かれた空のペットボトルと、やはり空の自分のグラスに目をやる。

 「全部無くなっちゃったみたいね。また、搾る?」。

 「いや、いいよ。今日は随分搾ったからもうあまり出ないでしょ?」。

 健二の言葉に反応するように枝美子は自分の胸を下から何度か押し上げるようにする。

 「そんなことないわよ。ほら、血管が浮き上がってきてるでしょ。また、オッパイが火照ってきているの」。

 言われて健二が枝美子の胸元に見入っていると、枝美子が不意に立ち上がる。

 「そうだ、デザート食べない?」。

 冷蔵庫から持ってきたのは、真っ赤に熟した苺だった。ガラスの深皿に盛られた苺をテーブルに一旦置くと、また自らの乳房を剥き出しにする。

 「母乳は甘いから、ちょうどいいでしょ?」。

 枝美子は、皿を再び手に取り、盛られた苺に向けてミルクを振りかけるように搾り出していった。

 健二は手渡された皿に目を落とす。枝美子が言ったとおり、ほんの一、二分搾っただけなのに、一番底にあった苺はミルクに溺れていた。


 夕食の片付けが終わって二人はソファーにすわっていた。

 一息ついたころ、健二の手のひらがまたも枝美子の股間を伸びて行った。

 枝美子の方も、敏感な突起を転がす健二の指の感触を感じながらうっとりしていた。

 健二は暫く弄ぶと、「もう、ブラジャーをはずしてもいいんじゃない?」と明るく言う。

 言われるままに、枝美子は背中のホックをはずして、ブラジャーを取り去る。火照りは一旦退いていたもののミルクを蓄え堅くなっていた乳房は、反り返るほどにそびえ立っていた。

 ソファーの上に置かれたブラジャーを手に取ると、健二は引っ張ったり裏返したりして、興味深げにそれを観察していた。ブラジャーの裏側にはワイヤー部分の縫い目が直接肌に当たらないように、柔らかな布地が丁寧に縫いつけてあった。

 拳をカップの中に押しつけてみると、ブラジャーのカップの大きさに改めて驚かされる。サラダボールもすっぽり包んでしまう程である。

 「まるきっり帽子並みだね」。

 そう言いながら片方のカップをかぶってみせる。

 「恥かしい事言わないで」。

 枝美子は、頬を赤く染めていた。

 ソファーに座り直した枝美子のエプロンの下に健二の手が伸びていった。股間をいたずらな手が弄ぶ。

 枝美子も軽く内腿を開いて協力していたが、角度が悪いためか、指は洞窟の浅いところまでしか入れなかった。

 「ここに四つん這いになってよ」。

 少々焦れていた健二は枝美子に指示を出す。

 四つん這いになった枝美子の真後に健二は腰を下ろす。

 真後から見ると量感のあるヒップとともにピンクの花弁をはみ出させた女の中心が晒されていた。

 健二は両手で枝美子の亀裂を押し開き、内蔵を覗き込んでいた。

 「中のピンクの肉がヒクヒクして、汁が垂れ始めてるよ」。

 そう言うと、お尻に顔を近づけ、ピンクの突起を舌で転がすようにする。

 健二は、さらに二本の指を差し込み、抜き差ししながら指を中で慌ただしく動かす。

 枝美子も体内の激しい摩擦感覚に翻弄され、夥しい愛液を湧き出させていた。

 「ひょっとしたらオシッコより量が多いんじゃないの」。

 健二の声とともに、枝美子は上体をくずし、頬と乳房を床に押しつけていた。

 その時、指は枝美子の身体の中から引き抜かれた。枝美子は当然次に、健二自身が入ってくるものと思った。

 しかし、健二は亀裂を軽く撫で上げるだけでズボンを脱ごうとはしない。

 「早く入れて」。

 興奮していた枝美子は、はしたないとは思いつつ訴えていた。

 「入れてげてもいいけどなー」。

 思わせぶりな指は、軽く内襞を摩擦すると、また直ぐに抜け出て行く動作を繰り返していた。

 達しそうになっては焦らされる枝美子は、お尻を振って「お願い。入れて」と恥も外聞もなく哀願していた。

 「どんな時でも僕の命令通りできる?」。

 「ええ。だから早く」。

 それを聞くと健二は一瞬ニヤッとし、ようやくズボンを脱ぎ始めた。後ろに膝立ちですり寄ると、カチカチになった肉棒をゆっくりと花弁の間に沈めていった。

 枝美子は、空洞が熱い肉筒で満たされると、貪るように至福の感触を味わった。

 体内の侵入物を逃すまいと、肉の洞窟が激しく収縮する。

 腰を揺さぶって抜き差しする健二もその強烈な締めつけをまともに感じていた。健二も既に一回出しているので、かなり持ちこたえられると思っていた。しかし、限界は急速に近付いてくる。

 「そろそろ出してもいいけど、どうする?」。

 少し見栄を張って余裕が有るかのように言ってみる。

 「お願い、そのまま中に出して」。

 下半身に全ての神経を集中していた枝美子は、健二のはったりを見破ることもできず、力を振り絞って返事をした。

 「おっ、うう」。

 叫びとともに健二の栓がはずれ、筒先から熱いしぶきが噴き出す。

 ドクドクと注ぎ込まれる精を枝美子の身体は搾り取るように飲み込んでいった。


 陶酔から醒めた健二は、まだ朦朧としている枝美子の上体を引き上げ、改めて四つん這いにさせた。

 真横から眺めると、枝美子の上体の下には彼女自身の顔よりも大きな乳房が重たげにぶら下がっていた。真下を向いた乳首からは、またしても乳汁がしたたり落ちている。

 横から手のひらを差し入れ乳房を掴むと、重さを計るように持ち上げ軽く揺さぶるようにする。

 その時、枝美子の首に着けていたベルがカランと鳴った。

 「本当にホルスタイン並みだね。今日からは、僕の家畜だよ」。

 されるがままになっていた枝美子だが、その言葉を聞いて、ここに来た時に健二から渡された首飾の意味をやっと理解した。首飾のベルトに付けられたのは、牛の首に付けるカウベルである。

 健二は、枝美子に乳牛の印を付けさせて、密かに楽しんでいたのである。

 「家畜?」。

 枝美子が少々不満げに、その言葉を繰り返す。

 「そうだよ。どんなことでも言うことをきく、かわいい牝牛だよ」。

 「ペットじゃないの?」。

 「こんな大きなオッパイをぶら下げて、子猫にでも成れると思ったの?」。

 枝美子は健二の冷徹な言葉に一瞬ムッとしたももの、現に小玉スイカ程もある乳房を健二にグイと持ち上げられると、自らの身体的特徴を意識せざるを得なかった。しかも、今し方どんな命令でもきくと約束させられたばかりである。

 地に落ちた自分の立場を思い哀しくなるが、母乳の滴りとともに別の淫らな思いが身体の奥から頭をもたげてくるのだった。

 健二は一旦立ち上がり、片手鍋を持って戻ってきた。

 「それじゃ、早速、牛の乳を搾るか」。

 そう言うと、持ってきた鍋を枝美子の上体の下に差し入れる。そして、乳首を指で少し転がすようにして乳首を立たせた。

 揉み易いように体勢を整えてからオッパイを掴み、ミルクを搾り始める。

 はじめは母乳が出てこなかったり、思うように鍋に入れられなかったりしたが、暫く続けることで、だいぶコツがつかめてきた。

 ミルクの白い筋は何本かが合流するように、勢い良く鍋底に叩きつける。

 思ったようにミルクが搾れたので健二は上機嫌である。

 まだ両方の乳房から搾り切ったわけではないが、小ぶりの手鍋にはほぼ一杯のミルクが溜まっていた。

 健二は鍋を持ち上げると、その量の多さに感心したように白い液面を眺めていた。



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