真昼の情事/官能小説

  賄い付き下宿

                        蛭野譲二

   45.人形、機械、そして


  
 二人が寝転んだまま横向きになり、一旦接合を解いたときだ。

 俺の右手は、ベッドのヘッドボードに軽く当たった。その手を下に降ろすと、ボードとマットレスの隙間に指が自然に入ったんだ。

 特に何かを探るつもりでもなかったんだが、指先に何かが触れたのを感じた。

 さらに四本の指を押し込んでみると、指先に触れたのが電気のコードのようなものであることが分かった。コードといっても100ボルトの電源コードみたいに太いのではなくもっと細いビニール巻きの電線だった。

 直ぐに俺の頭は、それが何であるか想像できた。

 彼女が股間をティッシュで拭っているのを確認すると、本格的に隙間へ手を潜り込ませた。

 俺の想像は当たりだった。

 指先は細身の懐中電灯のようなプラスチックケースを探り当て、さらに楕円体の本体も確認していた。

 綾さんの日記にあった「機械」だ。

 その「機械」は、大きなバイブレーターではなく、繭玉を少し大きくしたくらいの本体が振動するタイプのものだった。

 それでも、あの女らしい綾さんがそんな淫具を使っているということが、どうも想像しづらかった。

 そこで、まずは「カエル」を使ってみることにしたんだ。

 俺がティッシュを引き抜くとき、一緒にカエルの人形も取り上げた。

 手にした人形は、目玉の間の少し窪んだ所が僅かに白っぽいのに気づいたんだ。

 俺は、綾さんが意識するように、カエルを眺めるようにしてみせた。

 「綾さん、このカエルに何かカス見たいなものが付いてるよ」。

 わざとらしく臭いを嗅ぐ仕草をすると、彼女は慌てて、人形を取り上げようとする。

 だが、俺はサッと腕を遠退けて、それをかわした。

 「ダメだよ。もっとよく観察したいんだから」。

 「あっ、いやーん」。

 「ほらー、どうしたらこんなところに白い粉みたいなのが付くんだろう。教えてよ」。

 「……」。

 「じゃあ、どうやったらお汁が付くか試してみようよ」。

 追い討ちをかけると、綾さんが口を開いた。

 「きっとお乳が散ったのよ」。

 思いもかけない答えだった。もちろん、その言葉は口から出任せだと思った。

 だが、それはそれで試してみたいことを思いついたんだ。

 「じゃあ、やってみようよ」。

 「えっ、どうするの?」。

 「ほら、これをオッパイに挟んでみて」。

 俺は、カエルを綾さんの胸の谷間に押し付けるようにした。

 「両側からオッパイを押さえてごらんよ」。

 「えっ、こう?」。

 綾さんは両掌を大きく張り出したオッパイの側面にあてがい、グニュッと寄せた。

 谷間にあったカエルの人形は、直ぐにオッパイに埋もれ、完全に見えなくなった。

 「あっ、全然見えなくなった。じゃあ今度は脇を緩めて」。

 綾さんが腕を少し開くと、挟まったカエルが姿をみせる。それが何ともひょうきんだった。

 「はい、また押さえてー」。

 彼女には何度かオッパイを挟みつけたり緩めたりしてもらった。

 緩めたときもカエルは落ちたりしなかった。

 そんな遊びをしているうちに、綾さんのオッパイは、また活動し始めたようだった。

 乳房を寄せ合わせた時、両方の乳首からほぼ同時に、母乳が迸り始めたんだ。

 乳輪を強く押さえたときとは違って、二本の白い線が綺麗な放物線を描いていた。

 「もっとギュウッと押さえたらどうなるの?」。

 「こう?」。

 噴き出る白い筋は、本数を増し、俺の腹にも母乳が降りかかってきた。

 「綾さん、そのまま寝転がってみて」。

 彼女は、母乳を滴らせながら、仰向けに寝転がる。

 ミルクの筋は、ほぼ真上に噴き上がり、市民広場の噴水のようだった。

 俺も手を添えてオッパイを絞り上げると、勢いは一気に増し、盛大に顔に飛び散ってくる。

 乳房の頂点に掌を被せるようにすると、掌の真ん中がミルクの飛沫にくすぐられてるみたいだった。

 暫くは、ミルクの溢れるオッパイを鷲掴みにして、捏ね回して遊んだりした。

 久々に綾さんのオッパイで遊んだ後、自ら出した母乳でベタベタになったオッパイを脇へ広げてみた。

 ずっと挟まれっ放しだったカエルも母乳まみれだった。

 「ねっ、カエルさんにもお乳は付くのよ」。

 綾さんの言葉を聞いて、女っていうのは、定期券の年齢とオナニー関しては、平気でウソをつくもんだということが良く分かった。

 だが、俺にはもう一つの隠し玉があった。

 「じゃあ、次はこれね」。

 俺は素早く手を伸ばし、ベッドの隙間に在った「機械」を取り出したんだ。

 「えっ、何で分かったの」。

 それを目にした綾さんは相当にうろたえていた。

 手を振って奪い取ろうとしていたが、彼女は寝転がったままなんで、バイブレーターには触れられもせず、掌が空を切っていた。

 「これにもミルクがかかっちゃってるのかな?」。

 俺がまた臭いを嗅ぐ振りをする。

 「いやー、やめてー」。

 彼女は、首を激しく振る。顔は真っ赤に染まっていた。

 「じゃあ、臭いを嗅ぐのはやめるけど、これで少し遊ばせてよ」。

 「えーっ、そんなー」。

 「だって『何をしてもいい』って言ったじゃない?」。

 「言ったけどー」。

 ちょっと不満気な彼女を尻目に俺は行動を開始した。

 バイブのスイッチは、スライド式で強さが調節できるようになっていた。

 とりあえず弱めにスイッチを入れ、繭玉みたいな本体を綾さんの乳首に押し当ててみた。

 「どう?」。

 訊いても彼女は何も答えなかった。きっと我慢していたんだろう。

 でも、俺はそのことを逆手に取ったんだ。

 「あっ、そうか。これはオッパイに使うもんじゃないんだ。じゃあ、こっちはどうかな」。

 振動するバイブを一旦置いて、立てられていた綾さんの膝を割った。

 少し広げさせまいとする力が入っていたが、それほどきつく突っ張ってもしなかった。

 邪魔なネグリジェの裾を掃ってツルツルのワレメを晒させる。

 軽く指でラビアを広げ、ピンクの珊瑚玉を露にする。

 プーンと唸る繭玉をそこに軽く押し付けてみた。

 「うっ」。

 綾さんの吐息が洩れた。それと同時に膝を閉じようとするのは諦めたみたいだ。

 気を良くして俺は、振動を強めた機械で女の敏感な突起を攻め立てた。

 「うっ、うん」。

 男の俺には良く分からないが、バイブでのクリ攻めは、てきめんに効いたみたいだ。

 少し口を開いた淫窟から、液体が滲み出る。

 その淫水は、量と粘りを増してだらだらと溢れてきた。

 「綾さーん、何だかお汁が凄く出てきたよ」。

 「あん、いやん」。

 「あっ、いやなら溢れ出ないように栓をしとこうよ」。

 俺は、ベッドに転がっていたカエルを拾い上げると、綾さんの花芯にスポリとねじ込んだんだ。

 「ああん」。

 「さあ、これで大丈夫だよ。気兼ねなくクリちゃんを刺激してあげるからね」。

 バイブの一端を押し当てながら、スイッチを一気に最強にした。

 「ああーーん」。

 綾さんが一際大きく声を上げたとき、彼女に埋め込まれたカエルがスポンと飛び出してきたんだ。

 それに続いてグチャッて音が聞こえそうなほど大量の粘液が溢れ出てきた。

 「あーあ、お汁が多過ぎて、カエルが流されちゃったよー、呆れた量だなー」。

 「いやん、言わないでー」。

 「やっぱりカエルじゃなくて、こっちが本命かなー」。

 もう太股は、大きく開ききっていた。その間にぽっかり口を開けた洞窟にいよいよバイブをあてがった。

 スイッチは弱にして女の口に繭玉を押し込む。

 初め半分くらいまで押し込んでみたが、押し戻すような力が強く働いていた。

 それでも構わずヌルヌルの穴にねじ込む。

 バイブのお尻を指でさらに押し込むと、指が二、三センチ隠れたところで吸い込まれるようにバイブが奥に入っていった。

 コードを引っぱって繭玉を引き出すと、姿が半分くらい出たところでスポンと飛び出したきた。

 また中まで押し込むと、スルッと飲み込まれていった。

 体内に入るとバイブの音はほとんど聞こえなかった。

 確かめるように中指を奥まで突っ込んでみると、指先には確かに振動する塊があった。

 バイブの振動を強弱に動かしてみた。

 「強」にすると綾さんは、激しく腰をくねらせる。

 俺の操るスイッチで綾さんの動きが変わるのが何とも面白かった。コードでつながっているだけにリモコンでロボットを操るみたいだ。

 腰を引き起こして四つんばいにさせた。

 今度は、強さを徐々に上げてゆき、暫く最強にしたままにした。

 綾さんは高く突き上げたヒップをくねらせ、身体を震わせる。

 少し静かになったところで、また弱から強にリモコンを操作した。

 太股の付け根に挟まれたアソコからは絶え間なく粘液が滴り出ていた。

 その一部は、彼女の身体から生え出たコードを伝う雫になっていた。

 何度目かの最強にしたところで、綾さんは耐え切れず、身体を横たえる。

 それでも彼女の下半身は、収まることなく腰をくねらせ続けていた。

 俺は、片膝を押し上げて、無毛の股間を晒すようにした。

 やや色づきを濃くした花弁の中央からおしべが伸びるように、コードが出ていた。

 そして、花弁に隣接する珊瑚色のめしめべに指先を触れ、その突起を捏ね回したんだ。

 「あん、外と中を一度に攻められるなんてー」。

 「えーっ、僕はコイツしか攻めてないよー」。

 口では嘘ぶいていたが、突起を指で少し強く弄るとともに、リモコンのスイッチを強弱自在に操っていた。

 「ああーん、いっちゃうー」。

 さらに俺は敏感な珊瑚玉に軽く爪を立てるようにして嬲っていた。

 「あ、あん、ああーーん。だめー、いっちゃうーー」。

 彼女は、腰を突き出すように仰け反り、激しく痙攣していた。

 オッパイからは、ミルクが自然に噴き上がっていた。

 改めて股間を見ると、コードを生やした亀裂から液体が激しく迸っていた。

 そのとき俺は、てっきり綾さんが失禁したのかと思った。

 だが、オシッコとは違うようだった。出方も随分と広がっていたし、俺の体に降りかかる液は粘りが強かった。

 「女が潮を吹く」というのは、このことなんだろう。ただそのときは、初めての体験に半ば面食らっていた。



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