真昼の情事/官能小説

  賄い付き下宿

                        蛭野譲二

   38.黄色い水着


  
 九月の初め、ついに綾さんをプールに誘い出すのに成功した。

 最初は何だかんだと渋っていたが、この年は九月に入ってもクソ暑かったのが幸いした。

 俺が狙ったプールはこの年限りで閉鎖されることが決まっていて、その最後の週だったんだ。

 もちろん行くのは、ど平日だから、あまり混んでないことをアピールしたのが効いたんだと思う。

 「せっかく泳ぎに行くんだから」と、綾さんにはできるだけ真夏の軽やかな格好で出かけるように仕向けたんだ。

 「えーっ、ミニスカートは無理よ。私が下着着けるのがダメなの知ってるくせにー」。

 流石にノーパンミニスカには抵抗が強かった。

 「久々のプールでしょ?もう残り少ない夏を満喫しなくっちゃー。それに綾さんの脚、すっごく綺麗じゃないですかー。外出のときも、たまにはミニ穿きたいんでしょー」。

 ヨイショも交えて必死で説得したら、何とか俺の希望が受け入れられた。

 「分かったわ。その代わりノーブラだけは勘弁してねー。押さえてないと揺れちゃって、お乳が漏れやすいのよ。それにパッドも当てられないから」。

 このときは作戦がうまく行って、俺もウキウキだった。

 ただ、実際に出掛けてみると、ちょっと当てはずれなこともあったんだ。

 家の前に出てきた綾さんは、タンクトップにデニム風のミニスカートを穿いていた。

 スカートは、しっかりと短いもので、タイトではなく裾が開き気味のヤツだった。

 その点では満点だった。だがせっかくのタンクトップの上には薄いシャツを羽織ってたんだ。

 真正面から見れば、胸の谷間は見えてるんだが、周りの人が見とれてしまうような、あの胸の盛り上がりは、大半が隠れてしまっている。

 まっ、その場じゃあ文句もいえないんで、ともかく駅に向かった。

 この日も気温は、午前中から三十度を優に越していて相当に暑かった。

 駅につく頃には、二人とも汗だくだった。

 「ねえ、綾さん、暑くない?」。

 俺は、タンクトップの上のシャツを脱ぐように促したんだが、俺の誘導尋問には引っかからなかった。

 「へへ、そんなこと言ってもダメよ。電車は冷房が効いて涼しいんだから。それに電車の中では、いつも胸に視線が集まるから」。

 なかなかにガードが固かった。結局たいして面白いハプニングもなく、幾つかの電車を乗り継いでいった。

 目的地の最寄り駅は地下にあり、構内も一応冷房が効いていた。

 階段を上がって、表に出た途端、猛烈な日差しが二人を襲った。まさに「茹だるような暑さ」ってヤツだ。

 ここからプールまでは十分ちょっと歩くことになる。

 五分ほども歩いた頃、やっと綾さんが上を脱いだんだ。

 タンクトップの肩紐の部分は少し幅が広めだったが、これは仕方ないだろう。

 ブラジャーのストラップを隠すためには、ある程度の幅が必要だ。

 きっと彼女の場合、サイズの合うブラにはストラップレスなんてなかったんだと思う。

 下宿で俺にミルクを飲ましてくれるときも、必ず肩紐をずらしてからオッパイを引きずり出していたし、誂えてよっぽど頑丈に作りでもしない限り、肩紐なしで彼女のオッパイを支えるのは不可能だったろう。

 でも、タンクトップの前の部分はブラジャーにぎりぎりまで露出していたから、毬のようなオッパイが半分近く姿を現していた。

 直射日光が当たり、色白の球面が眩しく輝いていた。

 「もう、オッパイならいつも見てるでしょ。胸に視線が当たるのは、直ぐに判るのよ」。

 明るいところでオッパイを見るのが珍しかったんで、ついつい盗み見ていたんだが、とうとうバレちまった。

 そこで俺は、目先を綾さんの下半身に移すことにしたんだ。

 プールのある施設に近づくと、大きな階段が見えてきた。

 ここのプールは、階段を上がった広場を通り抜けてから、建物に入るようになっているんだ。

 階段にさしかかったとき、俺は靴紐を直すような振りをして立ち止まった。

 綾さんは、そのまま歩いているから当然先に階段を上がることになる。

 俺の頭より彼女の足が高くなったころ、追いかけるように俺も階段を上り始めたんだ。

 狙いは、決まってる。彼女の短いスカートの中を覗くためだ。

 そして、首尾よく中を覗くことができたんだが、こちらも見事に裏切られた。

 揺れるスカートの内側は、黄色い布地で防御されていた。ノーパンじゃなかったんだ。

 そのとき、俺が傍に居ないのに気づいた彼女が振り返った。

 もう、バレバレだった。

 「やっぱり、覗こうとしたんでしょう」。

 階段を上がったところで俺を待っていた綾さんが言い放った。

 ただし、目は笑っていた。

 「こんな短いスカート穿いて来てるんだもの。下だけは水着を着てきちゃったの」。

 そのときやっと解った。この日、彼女が超ミニスカートでも割と堂々と歩けている理由が。

 からくりを知ってちょっとがっかりもしたが、このときは「してやられた」って感じだった。


 ロッカールームを出たところで、綾さんを待っていた。

 彼女がどんな水着で現れるか、楽しみだった。

 待つこと十分。やっと彼女が出てきた。

 しかし、今度も不満が残る状態だった。

 彼女は、鮮やかな黄色のビキニを着ていたが、下にはパレオを巻いていて、上もバスタオルを引っ掛けていた。

 その場では文句を言わず、二人でプールの方に出て行った。

 ここには屋内プールもあるが、遊びのメインとなるほとんどのプールが屋外に設置されていた。

 ただ、プール群を囲むように長い日除けの屋根が連なっている。

 俺たちは、その日陰にある背凭れのないベンチに陣取って、腰を落ち着けたんだ。

 客は思ったとおり多くなかった。こういった施設とすればガラガラと言った方がいいくらいだ。

 もう小中学校が始まってたから、子供はほとんど居なかった。むしろ、若いカップルやグループが多いくらいだった。

 「綾さん、そろそろバスタオル取って、水着拝ましてくださいよ」。

 「えー、でもー」。

 恥ずかしそうにしてなかなかタオルをはずしてはくれなかった。

 でも、その羞恥が妙にそそったんだ。

 「昔の水着だから、ちょっとー……」。

 「プールに来て、水着姿を恥ずかしがってたら仕方がないじゃない」。

 俺が言うと少しの間を置いて、やっとタオルを肩からはずしてくれた。

 そして、彼女が恥ずかしがる理由がなんとなく解ったんだ。

 綾さんのビキニのトップは、けっこう小さめだった。と言うより「彼女のオッパイに比べれば小さい」といったほうが正確かな。

 黄色い三角のトップは、普通の子には充分な大きさがあるんだろうが、爆乳の綾さんにしてみれば、オッパイの乳輪とその周りをかろうじて覆ってるって感じだ。

 「本当はワンピースを着たかったんだけど、サイズが合わないのよ。これでも売ってた一番大きめのトップなのよ」。

 トップの下の紐も胸板から宙に浮いてしまって、けっこう下乳が食み出していた。

 「いや、けっこう似合ってるよ。ブラジルのサンバダンサーなんかに比べれば、大人しいもんだし」。

 「それはそうだけど……」。

 「ほら、あの子達見てごらんよ。年は、だいぶ若いかもしれないけど、スタイルだったら、断然、綾さんが勝ってるよ」。

 また、ヨイショでなんとか綾さんを盛り上げるようにした。


 俺は場内を一巡して、どんな施設があるかチェックした。

 ここには、あんまり大きくないがウォータースライダーがあった。これで遊ばない手はない。

 ベンチの所に戻って綾さんを連れ出そうとしたんだ。

 水に浸かるとなると当然パレオも外してくれるはずだとも思った。

 このときの彼女は、すんなりパレオをとってくれた。

 しかしその下はミニスカートというか前後にエプロンをつけたような水着で、アソコを直接覆っているボトムは更にその下になる二重構造になってたんだ。なかなかにガードが固かった。

 でも、そのちょっと複雑な構造の水着は、全て紐で結ばれていることを見逃しはしなかった。

 水着だけで歩く綾さんは、来ていた客の中でも注目を集めていた。

 それはそうだろう。くびれたウエストとは対照的に大きく盛り上がったオッパイは、黄色い水着と相まって、まるで胸にザボンを二つ引っ付けてるようだ。

 しかも歩けば、巨大なオッパイが微妙にバウンドする。

 目を少し下に落とせば、腰に巻かれたスカートみたいなのがひらひらと揺れ、けっこうエロっぽいんだ。

 客は、多くはなかったが、それでも綾さんを目撃した野郎どもは、ほとんどが見入っていた。

 その彼女を連れている俺は、けっこうな優越感に浸っていた。

 綾さんも注目されていることは、十分わかっていたと思うので、あえてけしかけるようなことは言わなかった。

 階段を上がりウォータースライダーの最上部に辿り着いた。

 上から見ると、ハーフパイプの傾斜は、それなりに急に見えたが、俺にとっては、たいして度胸のいるものではなかった。

 ただ、綾さんはスライダーの経験がないらしく、ちょっと怖がっていた。

 逃げ出されないように、先に彼女に滑ってもらおうと思ったんだが、直ぐには踏み切れない様子だ。

 「はい、足首を重ねてー、両腕は胸のところでクロスして押さえてください。じゃー行きますよー」。

 先の順番の女の人に、係りのあんちゃんが声をかけていた。

 「ほら、ああすればおっぱいが出たりしないよ。だから大丈夫だって」。

 「でもー」。

 まだ渋っていた彼女を一生懸命説得した。

 「一度滑ったら、病み付きだってー」。

 「じゃあ、先に駿くんが滑ってみて」。

 「わかったよ。その代わり『階段下りてくる』なんてカッコ悪いことは勘弁してよー」。

 結局、俺が先に滑ってみせることになったが、これは好都合だった。

 俺はスライダーを滑り降り、下で待ち構えることにした。

 滑り終わったところのプールはごく浅く、水深が膝くらいまでしかなかった。

 そこで待っていると、ほんのちょっと間を置いて綾さんが滑り降りてきた。

 派手な水しぶきが上がり、あまりうまくはプールを滑走しなかった。

 止まったところに駆け寄って、まだ顔をぬぐっている綾さんに手を差し伸べた。

 残念なことに彼女のトップは、それほど乱れてなくて、都合よく「オッパイポロン」のようなわけにはいかなかった。

 でも、彼女を引き起こしたときに、ちょっといい眺めに出くわした。

 例の水着のエプロンのような部分が完全に捲り上がっていたんだ。

 しかも、ボトムの底が股間に食い込んでTフロント状態になっていた。

 元々パイパンなんでハミ毛にはならないが、黄色いリボン状の両脇にプックリとお饅頭のように白い大陰唇が食み出していた。

 オッパイで下が良く見えないんだろう、ちょっとの間彼女はそれに気づかなかった。

 「あん、やだー」。

 布の当たりの悪さに手探りでどんな状態か解ると、ぽっと頬を赤らめる。慌ててエプロンの下に手を入れて直していた。


 けっこうな日差しだったんで、プルーから出ていると直ぐに汗が噴出していた。

 ベンチの所では、飲み物なんかも飲んでいた。

 俺は飲み干して空になったカップを揺すってみせた。

 ここの飲み物のカップは、紙ではなく透明で中に氷しか入っていないのが良く見えるんだ。

 それで、冗談めかして「これにミルク搾ってよ」みたいなことを言ったんだ。

 「えーっ、無理よ。周りにいっぱい人が居るんだもの」。

 「でも、これだけ暑いとオッパイも火照ってくるでしょ」。

 綾さんは、オッパイに手を当て、斜め下からから軽く二、三度押し上げるような仕草をした。

 これは、彼女がオッパイの張りを確かめるいつものやり方だ。

 当然、俺の期待は、高まる。

 しかし、彼女は僅かに微笑んで言ったんだ。

 「今日は汗をたくさんかいてるからかしら、それに水に浸かってると身体が冷えるからかしら、そんなにひどく張ってないの。だからダメよ」。

 このときの俺の狙いは見事にはずれちまった。

 それから暫くは、大人しくと言うか、普通にプールに来た客として、二人で遊んでいた。



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