真昼の情事/官能小説

  賄い付き下宿

                        蛭野譲二

   28.温泉宿


  
 宿に着いたのは、午後三時を少し回った頃だった。

 温泉が有るとはいえ、ここいらは観光地でも何でもないので、宿に入る前に見て回るような場所もほとんど無かったんだ。

 最寄り駅の近くで昼食をすませ、ほんの少し付近を散策しただけだった。

 ただ、近所で祭りがあるらしく、駅前のアーケードの店々には、堤燈が下げられ、BGMも祭囃子だった。

 祭りをやってる神社にでも見物に行こうかと思ったんだが、場所も良くわからないんで、そのまま予約した宿に向かったんだ。

 宿はかなり古びた感じだったが、入り口の中にはカウンターが設置されていて、一応フロントの体裁になっていた。

 始めに宿帳に名前を書くように言われてちょっと迷った。

 綾さんとは、夫婦に見えるわけないし、もちろん親子に見えるわけでもない。

 瞬間、筆が止まり、少し年の離れた姉弟ということにでもしようと思ったとき、宿帳を差し出していた小母さんが訳知り顔で言ったんだ。

 「あっ、どちらかお一人のお名前で結構ですよ。他一名って、書き添えてくださいな」。

 ここは、都心から何時間も離れた場所じゃないから、きっと郊外のラブホテル代わりに利用する客も多かったんだろう。ひとまず、受け付けのハードルはクリアしたわけだ。


 部屋には、小母さんに呼ばれて出てきた仲居さんが案内してくれた。歳は、五十を回ったくらいだろうか。

 案内されたのは離れで、一応壁のある廊下でつながっていた。

 部屋自体は広くもないが、それなりに情緒があり、何よりも隠れ家的な雰囲気が良かった。

 綾さんも隔離されたような所だったんでだいぶ安心したようだ。

 「ねえ、駿くん。吸って」。

 仲居さんが出て行くと、待ち構えていたように綾さんが言った。

 「電車の中では、ちょっと搾っただけだったから、もうパンパンなの」。

 言い終わらない内に綾さんは、ブラウスのボタンをはずしにかかっていた。

 まだ夕方にもなっていなかったが、綾さんにしてみれば家を出る前に搾ってから六時間近く母乳を溜め込んでいたんだから、もう痛くなっていたのかもしれない。

 ブラウスがはだけると、いつもの魅力的な胸の膨らみが姿を現す。

 身に着けていたブラジャーは、余所行きと思しきレースをふんだんにあしらったピンクのものだった。

 綾さんの手がカップの中に差し込まれ、いよいよオッパイが剥きだしになろうとしたときだった。

 「失礼します」。

 襖の外から仲居さんの声がしたんだ。

 綾さんは、慌ててブラジャーから手を抜き、オッパイを押し戻す。

 だが、仲居さんが入ってきたときには、まだブラウスのボタンを留めきれなかった。

 右手でブラウスの袷を押さえ、顔を真っ赤にしていた。

 仲居さんは、ポットのお湯を持ってきたところだった。

 きっと綾さんのあられもない姿を見ていたと思うが、そこは商売というところだろう。顔色一つ変えず、きゅうすにお湯を注ぎだした。

 綾さんは、仲居さんが目線を下げている隙に、ボタンを留め戻した。

 そして、財布から千円札を取り出すと、ティッシュペーパーにそれをくるんでいた。

 このとき俺は、それが何を意味するのか全然ピンとこなかった。

 二人の前に湯飲みが置かれ、仲居さんがお辞儀をしたときだ。

 「あのー、これ少ないけど」。

 綾さんが仲居さんにティッシュに包んだお金を差し出したんだ。

 「まあー、すみませんねー。それでは遠慮なく頂戴いたします。ありがとうございます」。

 旅館でチップを渡すことがあるなんていうのは、このとき初めて知った。

 でも、この心づけは、この後旅館での滞在を円滑にしたのは間違いないようだ。

 「もし、夜をゆっくり過ごされるなら、お食事は早めにしましょうか?」。

 「あっ、はい」。

 「お風呂は、玄関に戻る途中を右に入った所にご在ます。『檜風呂』と書いてありますが、お名札も張っておきますからご自由にお使いになってください」。

 「夜は何時頃まで使えますか?」。

 「朝までいつでもお湯は出ますので、どうぞ」。

 その他、宿の簡単な説明をして仲居さんは出て行った。


 「あーっ、びっくりした。ヒヤヒヤだったわ」。

 「まさか綾さんが母乳を吸ってもらおうとしてたとは思わないだろうけど、もう僕たちが何しに来たか、この旅館の人にはバレバレだね」。

 「やあねー。それより、オッパイ吸って。恥ずかしい思いしたら、余計にジンジンしてきちゃった。もう漏れだしてるみたいなの」。

 今度は躊躇することもなく、手早くブラウスを広げ始めた。ゴージャスなレースのカップからオッパイがボロンと転がり出る。

 少し大きくなった乳首からは、確かにミルクが滲み出てきていた。

 いつものようにオッパイにかぶり付こうと思ったとき閃いたんだ。折角温泉に来てるんだから、このオッパイで少し遊んでみることにした。

 「ねえ、綾さん。こんなにカチンカチンだったら、噴き出したミルクが何処へ飛ぶかわかんないから、このまま温泉に入ろうよ」。

 えっ、というような顔をしたが、直ぐに納得したのだろう。俺の提案は聞き入れられた。

 俺は、備え付けの浴衣と温泉タオルを持って直ぐに部屋を出ようとした。

 だが、綾さんは旅行カバンから着替えのようなものを取り出していて、少し手間取っていた。

 俺が先に立ち、脱衣場に入ると、さっさと裸になった。

 綾さんは、ゆっくりとした感じで、まだブラウスを脱いだだけだった。

 俺をちらりと見ると、恥ずかしそうに背を向けた。

 まだスカートを穿いたままの白い背中には、幅広のブラジャーのラインが張り付き、いかにも「女」という感じだった。

 彼女は、スカートのジッパーを下ろすと、左右のウエストの所に親指を差し入れる。

 背中から眺めていると、スカートが下がり始め、直ぐにガーターベルトが現れた。

 徐々にスカートが下がり、量感のあるヒップが見え始める。下に何も穿いてないことを証明するように、お尻のワレメが覗く。

 ぐっと腰を突き出すようにしてスカートがヒップの頂から滑り落ちる。

 綾さんの滑らかなお尻が全貌を現す。そしてその下の狭間に在るものを目で追おうとした。

 「もー、エッチなんだからー。そんな所に裸で突っ立ってないで、さっさとお風呂に入りなさい」。

 スケベな顔で見とれてたのが、バレちまったようだ。

 お楽しみはこれから、ということで、ここは素直に風呂場に入った。



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