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大学も夏休みに入り、そろそろ一旦帰省しようかと思っていた頃のことだ。
本来、夏休み中は、食事を出す義務はないのだが、俺が居ることが分かっている日は、綾さんが相変わらず食事を作ってくれていた。
だが、この日は出掛けていたようだった。
特に用事のなかった俺は、部屋で寝転がってオナニーにふけったりしていた。
性的欲求が満たされたら腹が減ってきたので、どこかに外食に出ようかと思っていたときだ。
「駿くん、居る?」。
ドアの向こうから声がした。
「はいー」。
起き上がって、ドアを開けてみると、満面の笑みを湛えた綾さんの顔がそこにあった。
「夕食、まだでしょ?。だったら、今日は二人でパーティーしない?」。
急なことで、俺はちょっと怪訝な顔をしていた。だが綾さんは、そんなことにはお構いなしの様子だった。
「今日は、とってもいい事があったんだ。だから、ね。三十分くらいしたら一階に来て。下の戸、開けとくから」。
それだけ言うと、さっさと下に降りて行った。
訳も分からないが、ともかく暫く経って、一階の居間に行った。
テーブルには、ちょいと豪華な料理が並べられていた。ただ、手作りの料理というのではなく、大半は外で買ってきたものらしかった。
まあ、先ほど帰ってきたばかりだろうから、手塩にかけて作るってわけにもいかなかったんだろう。
綾さんの手料理は、俺も気に入っていたが、たまには、こういったのもいいかななんて思ってた。
それより、キッチンに向いて俺に背を向けている綾さんの格好の方が気を引いたんだ。
彼女は、柄物のブラウスにストレートのスカートを穿いていた。ただ、このスカートがエラく短いんだ。
膝上二十センチ近かったんじゃないかと思う。しかも、後ろにはさらに十センチくらいのスリットが入っていた。
俺が部屋に入ってきたのが分かったんだろう。綾さんが振り向き、また笑顔を浮かべた。
俺の視線がスカートに向いてるのに気づくと、ちょっと照れくさそうにしていた。
「今日は、ものすごく暑かったでしょう。だから昔のミニ、引っ張り出して着ちゃった。私ね、昔からミニスカートが好きだったの。流石にボディコンとかまでは着なかったけど、ミニって特に夏は快適なの」。
確かにこの日は暑かったが、「ちょっと目の毒じゃないかー」てな感じもした。ただ、綾さんの脚は細過ぎず凄く綺麗だったんで、こっちとしては好い目の保養だったんだが。
「それより、教えてくださいよ。どんないい事があったんですか?」。
脚に目が奪われた照れ隠しもあって、俺は話を戻したんだ。
「まあ、座ってちょうだい」。
言われて、綾さんと向かい合わせで座ったんだ。
綾さんは、ブラウスも開放感を現すように、上の方のボタンを留めていなかった。
もう、彼女のオッパイは何度となく見ていたが、少し開き気味になったブラウスの間に胸の谷間が見えるのは、なんともそそるものがあった。
「実はねー、今日、あの住人が出て行ったのよー。ほら、アパートの家賃溜めてたあの男」。
俺が分かったように頷くと、綾さんはまた喋りだした。
「今朝、早く出て行ったのよ。ゴミ屑はけっこうころがってたけど、すっかりモヌケの空。だから、今日の内に鍵を取り替えちゃった」。
やなヤツが出て行って、よっぽど嬉しかったんだろう。彼女は終始満面の笑顔だった。
二人切りの宴が始まってからも、綾さんはハイテンションだった。お酒も随分と飲んでいた。
俺はというと、何時ぞやの二日酔いに懲りて、酒の量をセーブするように飲んでたんだ。
話の方は、けっこう弾んだ。
俺に決まった彼女が居ないこともバレちまったが、楽しく会話する間にも、少しルーズな綾さんの胸元が揺れるのも、ほとんど好きなだけ眺められた。
ただ、あんまり胸を見続けてたんで、無警戒だった綾さんにも、ついに感づかれちまった。
「やっぱり男の人は、気になるわよね。私ね、昔は胸が大きかったのそんなに嫌じゃなかったの。多少肩が凝るのはしょうがないけど、男の人にモテたし、友達なんかからも、むしろ羨ましがられた方が多かったの。でもね、大きいのにも適頃っていうのがあるのよ。私の場合、中学の高学年から高校卒業するまでは、カップの方だけはだいたい年に一つくらいずつ大きくなってたの。ところが短大に通ってる頃やOLしてた頃もずーと大きくなりっぱなし。流石に毎年ワンサイズも大きくなってたんじゃないけど、学校を卒業する頃には普通に売ってるブラじゃ全然収まらなくなっちゃたの」。
「その頃って、何カップっていうのだったんですか?」。
こんな話、滅多に聞けるもんじゃなかったんで、俺も興味を持って聞き役になっていた。ただ、この時点では、露骨にバストサイズまでは訊けなかった。
「Fかな?。男の人は知らないかもしれないけれど、ブラジャーってFカップより大きいのってほとんど売ってないのよ。それでね、そのFカップが窮屈になると、外国製のに頼るしかないの。インポート物って見た目は綺麗だけど、支えるとか揺れを防ぐのって国産のに敵わないんだ。それでも入らなければ、それ着けるしかないでしょ。その頃から、男の人の視線がやけに気になりだしたの。そりゃー高校生の頃も気になってたけど、モテたい盛もあって、その後そんなにいやじゃなくなってたのに…」。
綾さんは、襟を引っ張ってブラウスの袷を軽く調えた。
「ごめんなさい。つい目が行っちゃって」。
「ううん、いいのよ。こんな話になっちゃってるんだから」。
綾さんは、グラスに残っていたワインを飲み干して、また喋り始めた。
「それでね、短大の頃やOLやってる頃は、流行ってた時期っていうのもあるんだけど、ミニスカートけっこう穿くようになったの。実際どうだったかは怪しいけど、ミニ穿いてると男の人の視線が胸から分散するような気がして…。胸見られるのは『もう、うんざり』て感じなんだけど、実は私、脚にはちょっと自信があったの。『長くて真っ直ぐで、けっこう綺麗』て、今じゃ笑っちゃうくらいナルシスティックだったみたい。だから、結婚するまでは、私服はみんなミニだったの。脚見せたい一心だから、仕事のときもパンツスーツとかも着なかったし、ミニは穿けてもホットパンツとかは、OLになるととても穿けないし…。まあ、そんなわけでミニスカート穿いちゃったんだ。『オバサンのミニスカはパス』なんて言われちゃうかもしれないけど」。
酒で桜色になった綾さんの顔は、目が少しとろんとしてきて、妙に色っぽかった。
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