真昼の情事/官能小説

  賄い付き下宿

                        蛭野譲二

   13.体験談


  
 「あれー、駿くんあんまり飲んでないわねー」。

 「いや、いつぞやの二日酔いで懲りちゃったもんで、あんまり無理すると後が怖くて」。

 「また、風邪ひいて朦朧としちゃう?」。

 このとき悪戯っぽく笑った綾さんの目は、妖しく光ったように思えた。だが、そこで何かが直ぐに始まったわけではなく、まだ暫く「オッパイ談義」が続いた。

 「私ね、二十五で結婚したの。結婚しても直ぐに仕事辞めたわけじゃないから、通勤電車には乗ってたの。ここは、都心にそんなに遠くないからまだ良かったんだけど、新居は、もっと郊外に在ったから、電車に乗ってる時間は長いし、その電車、めちゃくちゃ込んでたの。そんな状態だったから、痴漢も多かったの。ほとんど毎日、遭ってたわ。で、その痴漢のほとんどが、お尻じゃなくって胸に来るの。電車の揺れに合わせて、二の腕を胸に押し付けてくるのが一番多かったけど、ブラウスの上から、オッパイ鷲掴みにするなんていうのも、しょっちゅうだったわ。幸い下半身を攻めてくるのは少なくて、スカートの中に手を入れてくるようなのは、月に一回くらいだったけど、ブラウスのボタンの間に手をこじ入れてくるようなのもけっこう多かったわ」。

 「女の人って、けっこう大変なんですね」。

 同情するようなことを口では言ってたが、俺も綾さんみたいな巨乳に電車の中で遭遇したら、痴漢をしない自信はなかった。

 「一度だけねー、ブラウスに手を入れられたとき、その痴漢はブラのワイヤーの下に手をこじ入れてきたんだけど、その時ブラウスのボタンが跳んじゃったことがあったのよ。ちょうどブラの真上の辺り。あれは、困っちゃったわ。一番服が盛り上がるところだから、勝手に袷が開いちゃってブラジャー丸見え。そんな通勤も、いやだったから、赤ちゃんが出来たら直ぐに会社辞めちゃったの」。

 この日は、ハイだったせいか、辛かっただろう体験も明るくサラッと話していた。俺も調子にのって、綾さんのオッパイ成長記を聞き出していた。

 「でも、胸が大っきい人は、妊娠してもあんまり大きさが変わらないって言うじゃないですか」。

 「それがそうでもないのよ。見た目は差が分かりにくいんだろうけど、私の場合、妊娠の前と出産の後じゃあ、バストは十センチ以上違ったわ。妊娠中にオッパイが突っ張るのなんて、後になってみると序の口。赤ちゃん産んで初乳が出るまでの間って、本当にオッパイが張り裂けるんじゃないかって思えるくらい痛かったわ」。

 「じゃあ、産んだ直後に凄く大きくなったんだ。ピークってサイズどのくらいだったんですか?」。

 どさくさ紛れについにサイズを訊いてみたんだ。

 「男の人って、女の人のサイズが気になるようだけど、当の本人は意外に良く分からないのよ。特に、お乳が出てる状態だと、張ってるときと授乳直後じゃあ五センチやそこらは違うんじゃないかしら。そうねー、私の場合、結婚した頃九十五、六あったのが、それだけ増えちゃったの。だから楽に一メートルは超えてたんじゃないかしら。今もご承知の通りお乳がいっぱい出てるからほとんど変わらないの」。

 メートルなんて聞くと、ちょっと凄い。巨乳を売りにしてるグラビアクイーンでも、メーターオーバーなんて滅多に居ない。しかも、単純計算すると一メートル七、八センチあることになる。


 「あーあ、オッパイのことなんて話してたから、また張ってきちゃった。責任とってもらうぞー」。

 茶目っ気たっぷりにいうと綾さんは、ブラウスのボタンをはずし始めた。

 いつもの食後の授乳だと、ブラウスをはだけるとき緊張感が走るのだが、この日の綾さんは、酔いのせいもあってか、まるで緊張する様子はなかった。

 ブラウスの下からは、真っ白いレースをふんだんにあしらったブラジャーが姿を現す。

 俺は黙ってそれを見ていた。

 「あっそうだ。お酒が弱いんなら薄めちゃったらどうかしら?」。

 綾さんは、俺がまだ飲み切っていなかったワイングラスを手に取る。

 空いてる手でちょっと乱暴にブラジャーのカップを引き下げると、いつもの巨大な乳房がこぼれ出る。

 二、三度オッパイを斜め下から押し上げるようにしてから、グラスを乳首の前にあてがった。

 「あー、硬ーい。ビールが効いたのかしら、おっぱいカチカチ」。

 綾さんの手が、乳房の八合目辺りを握りつぶすようにすると、プシュッと音がしそうなほど勢いの良い母乳が十本近い筋になって噴き出てきた。

 グラスをほとんど乳首に被せるくらい近づけて、ミルクをグラスの中に溜めてゆく。

 初め血のように赤かったワインが見る見る白濁し、ものの二、三分でグラスが満たされた。

 「はい、どうぞ」。

 目の前にワイングラスが置かれた。

 ピンクに染まった綾さんの母乳は、正にカクテルという感じでとても綺麗だった。

 「じゃ、いただきます」。

 特性カクテルは、意外にあっさりで、ワインがブドウから出来てるっていうのが納得できる味だった。


 「あー、痛い。もう我慢できないわ」。

 綾さんが叫ぶように言ったのは、俺がワインとミルクのカクテルをまだ、飲み切らないうちだった。

 「オッパイがパンパンで凄く痛くなってきちゃった。私もこんなに飲んだの久しぶりだから油断してたけど、お酒って効くのよ、オッパイに」。

 言い終わると綾さんは立ち上がり、ブラウスのボタンをはずし始めた。

 「駿くん、こっちに来て吸って」。

 ブラウスの前を完全にはだけさせてソファーの所に立つと、手招きする。

 もうこの頃は、綾さんのオッパイを吸うのも慣れたもんだったんで、俺も躊躇なく椅子を立ち上がった。

 綾さんの座っていた右に座り、身体を少し斜めに向ける。綾さんは少し右に向いていたから、ちょうど膝と膝とが触れるような感じに座ったんだ。

 いつものようにストラップが擦り下げられ、あの巨大なオッパイが姿を現す。

 これもいつもの光景なのだが、このときはちょっと違った。

 乳首までが剥き出しになった、右のオッパイは、裾のから頂に向かうように無数の静脈が浮き出していた。その内幾本かは、かなり太く、乳輪の近くではプックリと血管が浮き出していた。

 綾さんの指先が乳首の付け根辺りをそれこそ腫れ物を触るように摘むと、白い雫が零れ、あっと言う間に母乳の噴出が始まる。

 その白い筋は勢い良く飛び散り、七、八本の内三本ほどは、正面の食卓の方にまで飛んでいた。

 「あっ、大変。早く吸って」。

 瞬間見とれていた俺は、慌ててオッパイに両手を添え、母乳を噴射する乳首をくわえ込んだ。

 あえて吸う必要もないくらい口の中に甘い体液が溜まっていた。最初の三口ほどは、噎せ返らずに飲み干す方が大変なくらいだった。

 当てた掌の位置をずらして、少し指に力を入れてみた。

 このときのオッパイは、本当に硬く、空気を入れたばかりのバレーボールのようだった。

 「あっ、張りが治まるまでは、もうちょっと優しくして。痛いの」。

 男は、母乳の出るオッパイに魅せられるだけだが、当の本人が母乳を出すってことは、意外と大変なんだなということをこのとき知った。

 俺も一生懸命ミルクを飲み下し、オッパイに少しは指が食い込むようになっていった。

 「次はこっちも。ねっ」。

 頭を上げ左のオッパイを見ると、綾さんがきつ目に乳首を摘んでいた。突端からはだらだらとミルクが滲み出ていた。

 俺が顔を近づけると、綾さんは指を離した。

 すると、母乳が一気に噴出し、モロに俺の顔を直撃した。

 「あっ、御免なさい」。

 「いえ」。

 それだけ言って、母乳まみれの顔を再び乳首に近づけ、直ぐさまピンクの突端を咥え込んだ。

 これまた、吸う間もなく噴流が俺の扁桃腺をくすぐった。

 さっき綾さんが乳首を摘んでいたのは、母乳の出を促していたのではなく、逆に母乳が噴き出すのを抑えていたんだ。

 凄い勢いだったんで、今度は本当に噎せてしまった。


 時間はどのくらい経ったか良く分からないが、俺は腹を抱えるくらい満腹になっていた。

 宴の料理を食った後だったが、それでも牛乳ビン二本分くらいは飲んだんじゃないかと思う。

 「あー、本当に楽になったわ。あんな状態だと、搾乳機も痛くて使えないのよ。何か駿くんには、お世話になりっぱなしね」。

 綾さんの胸の痛みは治まって、また、いつもの笑顔になっていた。

 「一度、ちゃんとお礼をしなきゃいけないと思ってるんだけど、いい物が思いつかなくって」。

 タオルを手にして、飛び散った母乳を拭き取るようにしていた綾さんは、まだ両の胸を剥き出しにしたままで、たまにまだ滴り出る乳首にもそのタオルを当てたりしていた。

 俺はというと、どっかとソファーにもたれたまま、その綾さんの仕草を眺めていた。

 ミニスカートで立ったりしゃがんだりしている美人。しかもオッパイは剥き出しのままだ。

 当然のように、俺の股間は大きく膨らんでいた。

 「オッパイを飲むのは、僕もこの味けっこう好きだからいいんですけど…」。

 「そうね。赤ちゃんみたいに扱ってたところがあったかもしれないわね。もう、大学生なんだから、立派な大人よね」。

 言いながら、不意に綾さんが俺の方を見た。視界には俺のズボンの股間も入っていた。

 普段だったら、オッパイを吸いながら、大きくなった股間は、感付かれないように隠すようにしていたんだが、このときは、無警戒だった。

 俺としては、綾さんの視線を感じて、それとなく両手をズボンに置いて隠したつもりだったんだが、綾さんは既に俺の身体の変化を認識していた。

 「隠さなくてもいいわよ。大人なんだから当然よ」。

 その一瞬、また綾さんの目が妖しく光った。そしてその瞬間から二人の関係が大きく変わり始めたんだ。



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