真昼の情事/官能小説


  重役秘書

                        蛭野譲二

   5.第一日目


  
 翌日。

 十時頃、推進室に小夜子が入ってきた。義雄は普段通り挨拶をして、彼女の様子を観ていた。

 彼女は態度に少し堅さがあるような気もしたが、努めて平静を装っているようである。白いブラウスにスカートという、何時ものスタイルだったが、スカートの方は心持ち短いように思えた。

 このスカートの下には何も穿いてないかもしれないと思うと自然に股間が熱くなる。

 小夜子は、何時ものようにコーヒーを持ってきたところだった。コーヒーカップをデスクに置くと、シュガースティックとカップミルクを添え置きする。

 「今日は、小夜子クンのミルクじゃないんだ?」。

 義雄が冗談めかしてそう言うと、小夜子の表情が急に堅くなった。

 「大変失礼をいたしました」。

 そう言うと彼女はトレーをデスクに置く。そして、その場でブラウスのボタンを外し始めたのである。

 予想外の展開に義雄は黙って彼女を見つめ続けた。

 ブラウスがはだけると、総レースの白いブラジャーが現れる。今日の小夜子は躊躇することなく、そのまま乳房を引き出すのであった。

 昨日と同じく瑞々しく張り切った巨大なオッパイが義雄の目の前に晒される。小夜子は左手にコーヒーカップを持ち、剥き出しになった左の乳房にあてがう。右手で乳首の根元を絞り上げると、ピンクの突端から白い滴が零れ始める。滴はすぐに白い筋となってカップに注がれる。

 「はい、どうぞ。こんな程度でよろしいですか?」。

 ミルクの飛び散った皿ごとカップを差し出されて義雄は我に返った。

 剥き出しのままの丸い乳房の先からは、まだ白い滴が少し零れ落ちていた。

 「今度からは、カフェオレにでもしてもらおうかな」。

 小夜子の行動に圧倒された義雄は、辛うじてそんな冗談が言えた。

 「たくさん飲んでもらうと、私も助かるんです」。

 そう言うと小夜子はボタンを留め、部屋を出ていった。

 義雄には、彼女の言葉の意味が今一つピンとこなかったが、少なくとも小夜子が嫌がっていなかったのは確かだった。


 その晩、義雄は、代理人の義務を果たすべく当然のように小夜子を食事に誘った。小夜子も喜んで誘いに乗ってきたのだった。

 静かで気兼ねなく話のできるように、高層ビルの最上階にある店を選んで、二人で示し合わせておいた。一応会社の人間に気取られないように、別々に退社したのである。

 義雄が席について五分もしない内に小夜子が入ってきた。夜景を見やすいように配置されたL字型シートの片翼に彼女が腰掛ける。

 軽くグラスを当てると、義雄から話を切り出した。いくつか確かめておきたいことがあったのである。

 「昨日は専務の手前もあったけれど、香取クンは本当に構わないのか?」。

 「…」。

 「こっちは是非にもお願いしたいところだがね」。

 「私、人を選べるような身分の女じゃないんです」。

 「ただ、専務に命令されて、いやいや付き合うこともないだろ」。

 「そんなんじゃ無いんです。専務のお許しがあったのは確かですけれど、むしろ、専務とは今後ほとんどお付き合いできなくなるんです」。

 「それは、どういう意味?」。

 「ご家庭の事情もありますし、その他にもいろいろあるんですけれど。今はまだ何も言えないんです」。

 義雄は黙って小夜子を見つめていた。

 「何も言えないけれど、お付き合いして欲しいなんて、虫が良すぎますよね。ただ、苛められると身体がどうしようもなく火照ってくるのは本当なんです」。

 事情は解らなかったが最後の言葉を聞いて、義雄はあえて詮索するようなことは避け、小夜子との関係を楽しむことにした。

 「その話は終わりだ。ところで、今日の香取クンのスカートの中は、どうなってるのかな?」。

 義雄が手のひらでスカートから出た膝を軽くたたく。その途端に、小夜子は頬を染めて俯く。

 「ははーん、今日もパンティーを穿いてないんだな。何時もノーパンで、会社に一度も穿いてきたことが無いって言うのは本当だな」。

 「穿いて行ったことだって有ります」。

 「その言い方だと、穿いてない方が多いみたいだな。ノーパンで男を誘うのがそんなに面白かったのか?」。

 「いえ、男の人を誘うためなんかじゃありません」。

 「じゃあ、スリルを味わってたんだろ。触らないだけで、一種のマスターベーションだったんだろ」。

 「ドキドキするような感情があったのは事実ですけれど、本当に体質のせいなんです。あの部分に下着が当たると、くすぐったくて耐えられないんです」。

 「正直に言いなさい。ビラビラに何か触れるとそれだけで感じてしまうんだろ」。

 「…。本当のことを言います。布地が当たっていると、何時もお露が出てきて下着を汚してしまうんです。それで穿いてないんです」。

 義雄の誘導で恥ずかしい告白をしてしまった小夜子は、一気に顔を真っ赤にする。しかし、義雄はさらに攻め続けるのだった。

 「昨日は答えを聞けなかったけど、穿かなくなってどのくらいになるんだ?。少なくとも専務と付き合いだしてからは、ほとんど穿いてないんだろ」。

 「…、四年くらいです」。

 「四年まえっていうと、前の彼と付き合っている頃かな?」。

 「ええ。その人は、女性が下着を着けるのを嫌っていたものですから」。

 「それがノーパンのきっかけか?」。

 「ええ。その人には『一切着けるな』って言われていたんです。家に来たときに『下着を全部処分しろ』って言われたんですけれど…、この胸ですからブラだけは捨てるのを勘弁してもらったんです」。

 「その彼とは?」。

 「この間お話ししたように、妊娠かと思ったときに彼の方から去っていったんです。はっきり言えば捨てられちゃったんです」。

 「結局、気持ちが良かったんでノーパン生活だけは続けてたって言う訳か」。

 少々話が暗い方へ向きかけたので、義雄が話を戻す。

「…ええ、今でも家にはショーツは無いんです」。

「そうかー、一枚も持ってないんじゃ穿けるわけないよな」。

 その言葉が終わらない内に、義雄は手をスカートの中に挿入した。

 一瞬ビクッとした小夜子だが、身を堅くすることもなく、それどころか膝を心持ち開いて、義雄の手の進入を容認する。

 指先はやがて太腿の奥に到達する。すべすべの丘を軽く撫でると、位置を少し下げ、柔らかい花びらを分け入る。

 「じゃあ、今日はこのくらいにしようか?」。

 花弁の内側を軽くかき回すと、義雄はさっさと手を引き戻す。

 不意に空洞を作られた小夜子は、何か言いたそうに義雄の顔を見つめている。

 「明日の晩は、もうちょっと先まで行こうか」。

 そう言うと義雄は、テーブルに立てられた伝票を手にした。



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