真昼の情事/官能小説


  重役秘書

                        蛭野譲二

   4.小夜子の乳房


  
 「小夜子。おまえもグラスを持ってきて飲め」。

 田崎の言葉を聞くと、彼女は少し戸惑ったような表情をした。

 それを見た、義雄は少し意外に思った。先日の小料理屋での様子からすると、小夜子はそれほど酒に弱いわけではなかった。それに今日はまだ一口も酒類を飲んでいないのである。

 「何時も作るばっかりだからな。たまには飲めばいい」。

 田崎に再三勧められて、小夜子もテーブルの前に腰を下ろした。今し方恥ずかしい股間を晒した後だけに、彼女にとってはあまり居心地がよいわけでもないが、ともかく三人でまた酒を飲み始めた。

 義雄が二杯目を飲んでいる頃、また田崎の小夜子嬲りが始まった。

 「広田は、小夜子のオッパイは好きか?。お前この間『でっかいオッパイの女が好きだ』って言ってたけど、どうなんだ?」。

 「この前、ブラウスがはだけたときに見た限りでは、なかなか良さそうだったですね」。

 今までの田崎の言動からペースを掴んだ義雄も少し小夜子を言葉でいたぶり始めていた。

 「一昨日は、ちょっとしか見えなかったからな。小夜子。ブラウスの前を広げて見せて差し上げろ」。

 またしても恥ずかしい要求を突き付けられた小夜子は、俯いていた。

 「何、こんな事くらいで恥ずかしがることはないだろ。課長には、もう、お前のツルマンまで見られてるんだからな」。

 田崎の言葉に圧されて、小夜子は俯いたままブラウスのボタンを外し始めた。

 ブラウスは少し窮屈だったのか、ボタンが外れる度に前が自然にはだけてゆき、四つのボタンが外れ終わった段階で、ブラジャーに包まれた彼女の胸は完全に剥き出しになっていた。

 小夜子がブラウスの下に着けていたのは、レースに縁取られた淡いピンクのブラジャーだった。ハーフカップのブラジャーは胸を包む部分が浅く、巨大な乳房がすぐにでも零れ出そうである。レースの縁に接する盛り上がりには、ややピンクがかった部分もあり、乳輪の一部が既に覗いているようだった。

 義雄は、無遠慮に小夜子の胸を眺め続けていた。

 「服の上から見ても相当なものだが、直に見るとその迫力が違うな。でも、こんな大きな胸に合うブラジャーがよく見つけられたもんだな。これだけ大きいカップのって、なかなかサイズが無いんだろうに?」。

 「探したんじゃないんだよ。小夜子のオッパイに合うブラジャーなんて普通に売ってるわけないだろ。こいつのブラジャーは全部特注品なんだよ」。

 「なるほど。この大きさじゃFカップでも無理ですか」。

 「ああ何でも、特別誂えのブラジャーを作ってるんで下着代が嵩むそうだ。小夜子は、それで少しでも下着代を節約するためにパンティーを穿いてないんだろ」。

 二人は、恥ずかしげに身体を晒している小夜子を後目に勝手に盛り上がっていた。

 「そろそろ、オッパイを生で見てもらえ、とりあえず片方だけ出してみろ」。

 田崎が命令すると、小夜子はブラジャーのストラップに手をかけ、左の乳房を引きずり出した。

 剥き出しになったオッパイは、義雄の予測以上の迫力で、彼女自身の顔よりも遙かに大きい。乳首はやや大きめながら乙女のようにきれいなピンク色で、コップの底ほどの大きさの乳輪に縁取られていた。

 「いやー、何ともそそられるオッパイですな。こんなに大きいのにブラジャーから出してもちっとも形が崩れない」。

 「構わんから、触ってみろよ。好きなだけ揉んでもいいぞ」。

 田崎に言われて、義雄が小夜子の乳房に手を伸ばした。巨大な乳房は、義雄が思っていたよりも堅く、しかも熱を帯びていた。

 乳首を指で転がし、軽く揉みし抱くと、「あっ、ダメ」と小夜子が声をあげる。

 義雄は反射的に手を引っ込めた。

 それを見ていた田崎は、ニヤッとし、空になった自分のグラスを小夜子に突き付ける。

 「酒をもらおうかな」。

 そう言いながら、グラスの縁で乳首を突っつく田崎の顔は、また何やら企んでいるようだった。

 「はい」と言って、小夜子は空になった水差しを掴んで立とうとする。

 しかし、田崎は彼女の腕を掴んでそれを押し留める。

 「酒も氷もまだ在るんだから、ここで作ればいいだろ」。

 「そこまで、させるんですね」。

 悲しい目をして、そう言うと小夜子は黙ってグラスに氷を入れ始めた。

 もちろん、義雄には何のことだか全く解らなかった。ただ、黙って彼女の動向を観察していた。

 そして、小夜子がグラスにブランデーを注いだ次の動作を見たとき、またしても義雄の想像を超える彼女の実態を目の当たりにすることとなった。

 小夜子は、グラスを持ち上げると、先ほどから剥き出しになっている自分の乳房に引きつける。グラスの口をピンクの乳首にあてがうと、自ら乳房を揉み始めたのである。

 乳輪の縁あたりを強く絞ったとき、乳首の先から白いものが落ち始めた。何回か同じ動作を繰り返すと、白い液体は放射状の線となって勢いよく噴き出してきた。

 小夜子は、その液体を暫くグラスに注ぎ続けたのである。

 義雄はその様子を見て、先ほどからブランデーを割っていた白い液体の正体を知ることになった。あの水差しにも、事前に彼女が母乳を搾って入れていたに間違いない。

 「どうだ、これまた恐れ入っただろ。小夜子の身体は何時でもミルクが搾り出せるんだよ。しかも、相当に大量にな」。

 「じゃあ、やっぱり妊娠したことが有るんですか?。彼女のそんな噂は聞いたことが無いんですがね」。

 「最近はないさ。少なくとも俺と付き合いだしたここ二年は無いはずだ。ただ、その前には有ったんじゃないのか?」。

 「いえ、妊娠したことなんて有りません」。

 小夜子はまた強く否定をする。

 「じゃあ何で母乳が出るんだ?。俺も深くは聞いたことが無いから、この際詳しく話してもらおうか」。

 不意の沈黙の後、小夜子が話を始めた。

 「私は、特異体質なんです。業務に居た頃から自然にお乳が出るようになったんです」。

 「何も原因が無いはずないな。やっぱりその前に妊娠してたんじゃないか?」。

 義雄も興味津々で話に加わる。

 「実は、前に男の人と付き合っている頃、生理不順になったことがあるんです。でも、そのときも後で生理があって、妊娠はしていなかったんです。ただ、そのときからお乳が張るようになって、この頃からまた胸が急に大きくなっていったんです。それから三カ月くらいたった頃には、ミルクが自然に出るようになったんです」。

 「自然に出てるにしても随分とたくさん出てるじゃないか?」。

 「ブラにシミが出来るようになってからは、外出の前や帰宅後に搾乳機で搾るようにしていたんです。でも、搾れば搾るほど量が増えてきたんです」。

 「よし、妊娠していないことは信じてやろう。ところで広田。こんなパイパンの上に母乳まで垂らす女でも、お前面倒をみれるか?」。

 「はあ」。

 不意にお鉢が回ってきて、間の抜けた返事になっていたが、義雄は小夜子の身体がますます気に入っていたのである。

 今日のところは、大人しく帰るとしても、明日からの小夜子との関係が楽しみだった。



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