真昼の情事/官能小説

  賄い付き下宿

                        蛭野譲二

   43.最後の晩餐


  
 一階の食卓に料理が並べられていた。

 「豪華」というのとは違うが、それでも品数は普段の夕食と比べ物にならないほど多く、お目にかかったことの無い牛のステーキなんかもあった。

 二人差し向かいに座ると、まずビールで乾杯した。

 出された料理は本当に美味しかった。

 自宅から、そのまま賄い付きの下宿に入ったから全然意識してなかったが、翌日からは自炊するか、安い定食屋で飯を食わなきゃならないと思うと、美味しい料理のありがたさを実感するようだった。

 二人の会話は、いつも以上に弾んでいた。

 二年間のいろんな出来事を振り返るようなものが多かった。

 ただ、エッチ系の話は、お互いあえて避けていたように思う。


 一通りの料理に手をつけて、気づいたことがあった。

 この日の料理には、母乳を使ったと思えるものが一つも無かったんだ。

 「そういえば今日のご馳走は、ミルクを使ってないんですね」。

 「ええ、そうなの。ほら、明日からは駿くんだけじゃなく私も一人だけで生活していかなければならないでしょ。それで、断乳してみようかと思ってるの」。

 「断乳って、お乳を止めるってことですか?何か勿体ない気もしますね」。

 「でも、前にも言ったようにこの状態って凄く不便なのよ。半日も搾らずには居られないでしょ。朝から晩まで出掛けるのにも厄介だし、旅行なんかもおちおち出来ないもの。駿くんには何回も誘ってもらったけど、結局旅行できたのは一回だけだったでしょ?」。

 「ああ、あのときのお乳の出具合は凄かったですよね。特に温泉で」。

 「そうね、あれは正直私もビックリしたわ。まさか一回で洗面器一杯分も出るとは思わなかったもの。格好もそうだったけど、ほんと牛になった気分だったわ」。

 ちょっと顔を赤らめた綾さんが妙に可愛らしかった。

 「じゃあ『牛』は返上で、もう搾らないんだ」。

 「そう行きたいところなんだけど、現実は無理なのよ。ピタッと止まるわけじゃないから、徐々に搾る量を減らしていかないとならないの。断乳は、前に一回失敗してるから、今度は少し慎重にやろうと思ってるの。今日は予行演習みたいなものかしら」。

 「予行演習?」。

 「そう、実際どのくらい張ってくるのに耐えられるか、痛さを試してるの」。

 「じゃあ、もう何時間も搾らずに我慢してるんだ。どのくらい搾ってないの?」。

 「でもまだ、お昼からだから、六時間くらいかしら」。

 「で、もう相当に来てるんだ、痛さが」。

 「そうなの。実はそれで、今日のところは挫けかけてるの。ビールも飲んじゃったし」。

 「何も今日の今日に限って無理することもないじゃないですか。綾さんが辛そうにしてるのは見たくないし」。

 「それもそうね。『思い立ったが吉日』なんて思ったけど、何も駿くんがここを『卒業』するときに変な顔しなくてもいいわよね」。

 「やっぱり美女は、笑顔が一番ですよ。なんだったら僕が吸わしてもらいますよ」。

 「あら、ありがとう。じゃあお言葉に甘えちゃおうかしら」。

 綾さんの断乳チャレンジは意外にあっさりと延期された。

 ひょっとしたら、綾さんは、俺に巣立ちを意識させるために断乳を言い出したのかもしれない。

 当時の俺に、その意志がちゃんと伝わっていたかは怪しい。それよりも見納めになるかもしれない綾さんのオッパイが拝めるのことの嬉さの方が先に立っていた。

 綾さんは立ち上がると、おもむろにセーターの裾をたくし上げる。

 純白のブラジャーが徐々に姿を現してきた。ほぼフルカップのブラはデザインとしては大人しめだったが、清楚な感じで綾さんの人柄を表している様だった。

 ただし、ブラジャーの全貌が明らかになると、それは迫力ものだ。中のオッパイの圧力に耐えかねて、今にも弾けそうにピチピチになっていた。

 「綾さん、このまんまじゃあブラジャーがはち切れそうだよ」。

 「そうね、やっぱり搾らないとダメね」。

 言うと、彼女はグイと力を入れて両のカッブを引き下ろしにかかった。

 だがオッパイに圧迫されたブラジャーは、容易に下ろし切れず、何とかミルクの滲む乳首を表に出せる程度だった。

 オッパイは下半分が押さえつけられたままだったから、逃げ場を失った内圧が上半分を更に押し上げたんだろう。露出した半球はバスケットボールのようになっていた。

 湿ったピンクの突端からは、ポタポタと白汁が滴り出てはいたが、このときは白い筋のような飛び出し方じゃなかった。

 綾さんは少しやりにくそうに、セーターに手を入れて両肩のストラップを下ろす。

 やっとのこと開放されたオッパイは、それでも胸板に高々と聳え立っていた。

 背中のホックも外すと、ブラジャーは椅子の背もたれに、架けられた。

 無造作に引っ掛けられた白いレースの下着は、妙に心そそられるものがあった。

 「ねー、初めに少し吸ってくれない?」。

 椅子のブラジャーに見とれていた俺に不意に声がかけられた。

 綾さんは何時の間にかガラスのサラダボールを抱えてソファーに座っていた。

 声に誘われて、俺も横に腰掛ける。

 「きっと全部飲んでもらうのは無理だから、最初だけ吸い出してくれないかしら。出が良くなったら、ここに搾ろうと思うの」。

 「あっ、下手に手をかけると痛いくらいなんですね」。

 コクリと頷いたのを確認すると、俺は優しく下から支えるようにオッパイを持ち上げ、白汁の滲むさくらんぼを咥えた。

 軽く吸ってみたが、ミルクはあまり出ていないみたいだった。何時間もオッパイを搾らずに居たから母乳が出にくくなっていたのかもしれない。

 三、四回思いっきり吸いたてると、口の中に甘い液体が一杯入ってくるようになった。それからは、飲み下せないほどの母乳がなだれ込んできた。

 「うっうぐ」。

 何とか口の中の母乳を飲み下すと、げっぷにも似た吐息が洩れた。

 「あっ、ありがとう」。

 綾さんにも母乳が噴き出し始めたのがわかったのだろう。

 俺の吸っていたオッパイを引き取るようにして、サラダボールに母乳を搾り始めた。

 その乳首からは、想像も出来ないほどの大量のミルクが放出されていた。

 ちょっと大げさに言うと「蛇口を捻った水道」のようだった。

 いつもだったら十本くらいの白い筋が放射状に吹き出ているんだが、このときは隣の線同士が一緒になって雪崩れ出るようにボール内に注がれていた。

 ふと目を移すと、反対のオッパイには、太い血管が幾筋も浮き出していた。ミミズ腫れのような血管は乳輪に向かって荒々しく蛇行していた。

 「ねえ、こっちも吸って、もう我慢できないくらい痛いんだ」。

 「あっ、はい」。

 左のオッパイは、吸い付いて三口目にくらいに、大量のミルクを噴き出し始めた。

 その量は半端じゃなかった。

 短く喉を鳴らして飲み続けたが、それでも口の横からミルクが滴り出るんだ。

 「あーっ、すごっく楽になるわー」。

 飲み下すのはたいへんだったが、痛みから解放される綾さんの声を聞くと、母乳を飲み続けるしかなかった。

 二十分くらいもオッパイを吸っていただろうか。たまに左右のオッパイを替えて飲んでいった。

 綾さんもオッパイを搾り続けていて、常にその反対のオッパイを咥えていた。

 ガラスのボールには、四、五百ccの母乳が溜まっていた。


 ようやく、母乳の噴射も大人しくなり、オッパイも触り心地の良い柔らかさを取り戻していた。

 俺は、その感触を味わいながらも、膝枕状態でオッパイを咥えていた。

 目を上げてみると、あやさんは目を瞑っていた。オッパイを吸われて楽になり、だいぶ落ち着いていたんだろう。

 目を下に向けると、ミニスカートの先に膝小僧が覗いている。リラックスしているせいか、両膝の間が十センチ近く空いていた。

 俺は、それとなく膝に手を置き、指の腹で膝の内側を軽く撫でてみた。

 取り立てて反応は無かった。

 今度は乳首に舌を絡めて舐るようにした。

 「ん、んう」。

 軽く綾さんの吐息が洩れるのが聞こえた。

 頭を上げつつも、そのまま舌でオッパイを舐め続け、少しずつ膝を擦る手の動きを大きくして行ったんだ。

 「う、うん、うう」。

 半分寝ていたのかもしれないが、綾さんはまた少し呻いていた。

 俺は気を良くして、優しく擦りながら右手を太股にまで伸ばしていた。

 「ここまでして抵抗が無ければ、久しぶりに綾さんの身体を堪能できるかもしれない」。

 そんなことを思って俺は、欲情していった。

 まず初めに確かめたかったのは、彼女のスカートの中がどうなっているかだ。

 日中に階段のところで見た綾さんの姿が蘇っていた。

 慎重に、しかし確実に俺の手は、スカートの中に忍び込んでいった。

 そして、ついに指先が、女の花びらに直接触れたんだ。

 今までと変わりなかった。綾さんは、俺とセックスレスになっても、それまでと同じようにノーパンで生活し続けていたんだ。

 それを知った瞬間、なぜかえらくときめいた。

 確認のため、もう一度クレバスを撫で上げた。

 あそこは僅かに湿り気を帯びていた。

 もっと大胆になろうとしたとき、二の腕を押さえられた。

 「あっ、ダメよ」。

 綾さんの声だった。ただ、あまりきつい声じゃなかったように思う。

 エッチが日課になっている頃なら、かまわず彼女の中に指をねじ入れていたと思う。

 だがこのときの俺は、愛おしむように掌を無毛の股間に押し当て、じんわりと握るようにしたんだ。

 目は避けることなく、綾さんを見つめていた。

 綾さんも、何か言おうとしたのを止めて、俺を見つめていた。

 ほんの少しの沈黙の後のことだ。

 「わかったわ、今日が最後だものね」。

 「……」。

 「駿くんには、ずーっとお世話になりっぱなしだったもの。今日くらいはしっかりお礼をしなきゃいけないわね」。

 その言葉は、すっごく嬉しかった。

 スカートから腕を戻し、また二人見詰め合っていた。

 綾さんが優しく微笑んだ。

 そのとき俺は我慢しきれず、綾さんに抱きついてキスをしていた。軽いキスなんかじゃなかった。男が女を求めるディープなヤツだ。

 綾さんに教わったとおりにして、激しく舌を絡めた。

 さらに右手は、たわわなオッパイを揉みし抱いていた。母乳が手の甲に伝わってくるのもかまわず揉み続けた。

 彼女を半ば押し倒し、いよいよと思ったとき、綾さんが俺を押しとどめたんだ。

 「駿くん、今からシャワー浴びてくるから、ちょっと待って。せめて今日くらいは綺麗な身体で……したいから」。

 俺としては、そんなことより早くしたかったんで、ちょっと不満気な顔を見せてしまったのかもしれない。

 「だって、これは駿くんへのお礼だもの、贈り物はラッピングも綺麗にしたいでしょ、ね。その代わり、今晩は何をしてもいいから…。上のお部屋で待ってて、ね」。



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