真昼の情事/官能小説

  賄い付き下宿

                        蛭野譲二

   40.白昼のハプニング


  
 俺は、ろくにシャワーも浴びず着替えて、出口に立っていた。

 直ぐには綾さんは出てこなかった。

 十五分ほど立っただろうか。「もう先に帰ってしまったかもしれない」と思い始めた頃、少し俯き加減の彼女がのろのろとやって来た。

 「ごめんなさい。恥ずかしい思いさせちゃって」。

 傍に走りよって、まずは素直に謝った。

 当然、彼女は怒っていると思った。

 だが、綾さんの態度は何処となくもじもじしていて、怒っているのとは全然違っていた。

 俺が頭を上げると、彼女は耳に顔を近づけてきた。

 「今日ね、下着忘れて来ちゃったの」。

 「えっ?」。

 「ここへ来るときは、水着を穿いてきたでしょ。それで、帰りに穿くのを持ってくるの、忘れちゃったの」。

 「て、ことは?」。

 「そうなの」。

 股下十センチにも満たない短いスカートの下がスッポンポンだと言うんだ。それも家の中じゃない。公共の場でだ。

 頭の中にさっきのプールでのシチュエーションが蘇る。

 正直、股間も反応し始めていたんだが、何とか顔には出さないようにした。

 「あっ、これ返します」。

 俺はザックの中から、黄色の布切れを出して、逆手で彼女に手渡した。

 「ありがとう」。

 「その辺にトイレが在るんじゃないかな?」。

 「でも、まだかなりジメジメしてるから…、いいわ」。

 彼女は、素早くボトムをバッグにしまうと、一人で歩き始めた。

 俺は、慌てて追いかける。

 「ほら、穿いてないこと、多いでしょ?だから、そんなにビクビクしてないの。『今日は何時もより、ちょこっとスカートが短いだけ』って思えばいいのよ、ね」。

 ちょっと無理に笑顔を作った綾さんの健気さが、心にジンと響いた。

 それに引き換え、俺はどうだったろう。

 公衆の面前で二度も三度も綾さんに恥をかかせていた。

 このときは、流石に自らの行動を恥じた。


 駅に向かう道すがらは、それとなく彼女をガードするようにした。

 ちょっと危なそうな所では、俺が盾になって他人の視線を遮るようにしたんだ。

 そんなこともあって、無事に駅の前まで来た。来たときと同じ地下にある駅だ。

 ホームまでは、いくつも階段があるから、どう彼女を守ろうかなんて、一応真面目に考えてたんだ。

 入り口のところに来ると、けっこう深く階段が続いているんで、綾さんも少しすくんでいる様子だった。

 「俺が先を歩いた方がいいかな」なんて思ったときだ。

 ゴーーという音がした直後、ものすごい風が吹き出してきたんだ。

 「きゃーー、いやーん」。

 その声で横を見ると、風で綾さんのスカートがすっかり捲くれ上がっていた。

 彼女は、反射的に前を手で押さえていた。でも、スカートの後ろは完全にがひっくり返っていた。

 たまたま、上り下り両方の電車が入ってきたのかもしれない。風は意外に長く続いていた。

 その間、綾さんは両手で必死に前を押さえていたが、後ろに手を回す余裕もなく、何も穿いていない真っ白いヒップを晒し続ける羽目になっていた。

 俺たちの前後には、何人もの人が居た。

 その人達に少なくともノーパンのお尻を見られてしまっていた。

 「おおぅ、スッゲー」「えーっ、あれって穿いてないんじゃない?」なんて声も聞こえてきた。

 「泣きっ面に蜂」とは、このことだろう。風が収まってようやくスカートの裾を戻した顔は、赤くなるのを通り越して青くなっていた。

 綾さんは、もう電車に乗る気力を完全に失い、その場で身体を固まらせていた。

 とても「気を取り直して階段を降りる」なんて状況じゃなかったんだ。

 彼女自身も暫く判断力を失っていたようだ。

 俺は、初めタクシーで帰ろうかとも考えた。

 だが、ここからだと学生だった俺には、恐ろしく高くつくように思えた。

 そのとき思い出したんだ。駅とプールの間に何軒かのラブホテルがあったことを。

 綾さんを腕で抱くようにして歩かせた。

 そして、俺の財布でも賄える値段を表示してあるホテルに入ったんだ。


 部屋に入っても彼女は、まだボーッとしてるみたいだった。

 「綾さん、さっきの水着、出して」。

 「えっ?」。

 「ここで乾かしておけば、帰りに穿けるじゃない」。

 「えっ、えー」。

 のろのろとした動きで水着を取り出すと、無造作に渡してきた。

 俺は、それを洗面台で軽く濯いだ。

 男の俺が女物のパンツを洗ってるっていうのは、傍から見れば妙な構図だが、そのときは何とか彼女の役に立とうとしていた。

 水を切るとバスタオルでサンドイッチにして、ギュウギュウ押さえつける。

 最後にドライヤーを当てて、何とか生乾きくらいの感じにまでしたんだ。

 乾いた台の上にボトムを広げてから、ベッドルームに戻った。

 ベッドにちょこんと腰掛けていた綾さんは、俺を見ると少しばかり笑顔を見せた。

 もうだいぶ落ち着いてきた様子だった。

 「ありがとう。もう大丈夫よ」。

 「この短いスカートも、僕がお願いしたから穿いて来てくれたんだしさー。これくらいしなくっちゃ」。

 「えへ、駿くんて、やっぱり優しいんだ」。

 一際大きく笑顔を作ると、彼女は立ち上がる。二人で真正面に向き合った。

 「ここってラブホテルよね?初めてとは言わないけど、ほんと久しぶり。駿くんも何するところか知ってるわよね?」。

 「え、ええ」。

 「じゃあ、やっぱり、することしちゃうの?」。

 「ダメ?」。

 「ダメって言うか、その前にオッパイ吸って」。

 「また、痛いんですか?」。

 「ええ、それもあるけど、オッパイ吸われるのって凄く心が落ち着くの」。

 「もちろん、いいですよ。でも僕の方は、心穏やかじゃないから『することしちゃう』かもよ」。

 「その前に強く抱いて。抱きしめたままオッパイ強く吸って。そうしたら……」。

 もちろん、セックスのゴーサインも兼ねての言葉と思った。

 俺は、そのまま綾さんに突進し、ベッドに押し倒していた。

 強く抱きしめてから、激しくキスをした。

 抱きついたままタンクトップを脱がせにかかる。彼女も協力してくれた。

 下に着けていたのは、レモンイエローの透けるようなブラジャーだった。

 確か、アパートの立ち退き交渉に付き合った日に着けていたものだ。

 ハプニングがあった後の巡り合わせだろうか。ちょっとそんな気がした。

 「ああ、窮屈。取って」。

 彼女は、一度ごろんと横向きになる。

 空かさず俺は、ブラのホックをはずした。

 裏返ったカップから丸い母乳パッドがボソッと落ちてきた。

 ブラジャーから開放されたオッパイは、一回り大きくなった。

 しかも、真上を向いているのに、しっかりとした高さを保っていた。

 突端から白い雫が漏れ出してくる。

 再び覆いかぶさると、右オッパイの頂上に喰らいつき、思いっきりミルクを吸った。

 かなり溜まっていたんだろう。右は、プールで搾っていたのとは反対のオッパイだ。左に比べて数段硬かった。

 一度吸い上げて、もう一度吸うと、堰を切ったように母乳が口の中に雪崩れ込んできた。

 後は、口の端からミルクを零さないように必死で飲み下した。

 両手で掴んだオッパイに指が食い込むようになった頃、左のオッパイに鞍替えした。

 こちらも小一時間前、大きなカップ一杯に搾ったばかりとは思えないほどに、ミルクが湧き出していた。

 また暫くは、公園の水飲み場で水を飲むときみたいに喉を鳴らし続けた。


 もうかなり母乳が腹に溜まってきた頃だ。

 俺は、綾さんに重なったまま、顔を上げて小休止していた。

 それでも彼女のオッパイは、軽く手を当てているだけで、白い軌線を絶やすことがなかった。

 「ねえ、何か思いっきり飛ばしてみたくなっちゃった。何時もお家だから、オッパイが飛び散っちゃうのが気になるけど、ここなら気にしなくても平気でしょ?」。

 この提案には、俺も大賛成だった。急いでTシャツとズボンを脱ぎ、再び綾さんに跨った。

 「さあ、どうとぞ。痛くないから思いっきり搾って」。

 その言葉を合図に、ギューッとオッパイを絞りあげた。

 プシューッと音が出そうなくらいの勢いで母乳が噴き上がる。

 何処まで飛んで行ったかは、目で追いきれなかった。

 またギュッと絞った。両の突端から同時に十本近い白い筋が現れた。

 次の瞬間、背中に冷たい雫がドバッと降ってきた。

 暑い夏ということもあり、心地よかった。

 二度三度と繰り返してオッパイを握ってみた。

 その度に糸のように母乳が迸る。

 わずかな時間差を置いて肩や背中に冷たいミルクが降りかかるんだ。

 エッチの最中、彼女身体から滴り出た母乳を胸板に受けるときは、温かかったのに、滞空時間のせいか、このとき背中に受ける雫は、ひんやりとしていた。

 「あっ、顔に冷たい飛沫が落ちて来るわ」。

 「綾さんは、顔に落ちてくるんだ?僕の背中なんかもうビショビショだよ」。

 その後も、両方のオッパイを絞り続けた。

 気がつけば、背中と言わず頭まで風呂上りみたいにずぶ濡れになっていた。


 綾さんのオッパイが適度な柔らかさを取り戻すと、俺も彼女一息ついた。

 仰向けに寝転がったままの彼女は、上半身こそ裸だったが、下半身はスカートを穿いていたし、ハイヒールのサンダルも履いたままだった。

 綾さんもオッパイの張りが取れてホッとしているようで、静かにしていた。

 改めて見ると、極端に短いスカートから伸びる脚線の眺めは、すばらしかった。

 特に片脚の膝を僅かに曲げて太股を寄せる絵は、再び俺の本能に火をつけるのに時間はかからなかった。

 彼女の脚に擦り寄り、スカートから露出した腿を撫でていた。

 彼女は嫌がる風でもなく、されるがままになっていた。

 空いている手でスカートの裾を摘み上げてみた。

 申告どおりの無防備な股間が間接照明に浮かび上がる。

 きゅっと切れ上がった小股が悩ましい。そしてツルツルの土手から下に深い一本筋が見える。

 卑猥な眺めにたまらず、掌を太股に割り入れた。

 直ぐに指先は亀裂に辿り着き、縦の溝をなで上げた。

 「あん」。

 溝に沿って指をめり込ますと、薄いビラビラが当たるのが分かる。

 もうラビア自体がじめじめに潤んでいた。

 綾さんの中は、完全に洪水状態だった。

 両膝を立てさせて広げると、ピンクの花弁に挟まれた女の園が覗ける。

 既に中からは、こんこんと泉が湧き出していた。

 「あっ、うん」。

 少し上の珊瑚玉を突っつくと彼女の押し殺した声が洩れる。

 それと同時に下の口からは、ドロッと蜜が溢れ出る。

 少しの間マメ粒を転がしてから、一気に中指をこじ入れた。

 ヌルヌルなんて生易しいものじゃなかった。

 正に蜂蜜壷に指を入れたような感じだ。俺の指は綾さんの中で泳いでいるようだった。

 中で少し動かすと、中指は血が止まってしまうほどに締め上げられていた。

 抽挿に応えるように環状筋が俺の指を強く握り返してくれるんだ。

 一旦指を引き抜くと、ぽっかりと開いた穴が物欲しげに蠢き、ドクドクと粘りの強い涎を滴らせる。

 「オッパイを優しく飲ませてくれる綾さんと違って、下の綾さんは飢えてる狼みたいだよ。指が食いちぎられるかと思ったよ」。

 「いやん、そんなに飢えてないわ」。

 「じゃあ、また試してみようか?」。

 今度は二本の指を捻じ込ました。

 中で軽くVの字にすると「ちゃんと揃えなさい」と言わんばかりに、指が締め付けられた。

 マジで指は動かし難かった。

 「ほら、指が苦しがってのた打ち回ってるよ」。

 俺は、指をぐりぐりと捻りまわした。

 「あっ、あーん」。

 綾さんは、指だけでほとんど行きかけているようだった。

 そのとき、俺は指をズルッと引き抜いたんだ。

 「えっ?」。

 不意の中断に綾さんが声を漏らす。

 「綾さんばっかり、気持ちよくなってるのって、不公平だよね」。

 彼女がぼんやりと目を開ける。

 「ほら、僕はまだパンツも脱いでないんだよ」。

 「どうして欲しいの?」。

 「へへー、綾さんのオッパイで包んでよ」。

 「オッパイ?」。

 「そう、オッパイでしごいてよ」。

 「どうすればいい?」。

 「そのままでいいよ。ちょっと待って」。

 俺は急いでブリーフを脱ぎ捨てた。

 ベッドに上がりこむと、彼女を跨いで両脇下に膝を突いた。

 それで彼女も要領が解ったらしい。

 巨大な二つのオッパイの間に愚息をあてがうと、彼女自身が両手で乳房を抱えて、挟みつけてくれた。

 これに合わせるように、オッパイの頂上からミルクが吹き零れ、ちょうど愚息を挟んだ谷間に流れ落ちていった。

 母乳の潤滑油を得ると、俺も本格的に抽挿を開始した。

 熱を帯びたオッパイの圧力は、上り詰める少し前の膣の中に居るような感覚だった。

 俺は、大きく広がった乳輪を四本の指と親指の付け根で絞り上げた。

 まだ残っていた母乳が迸り、俺の額にも飛び散ってきた。

 腰の動きを速めると、俺も我慢し辛くなってきた。

 「綾さん、いきそうだよ」。

 「あん、私も気持ちいいけど…、さっき途中で止められちゃってるのよ」。

 「で、どうして欲しいの?」。

 「いやん、言わせないで。恥ずかしいわ」。

 「ダメ、ちゃんと言わないと」。

 「えーっ、駿くんの若さを中にちょうだい」。

 「もっとちゃんと言ってくれると思ったのに、しょうがないなー」。

 俺は下にずり下がってスカートを捲り上げた。

 彼女は、目一杯に股を開いてくれた。

 先ほどからずっと愛液を分泌し続けたていたのだろう。お尻の下のシーツにはすっかりシミができていた。しかも中心付近はギトギトの粘液にテカッていた。

 もう一度、花弁の上の珊瑚玉を突っついてみた。

 すると呼吸でもするように洞窟がすぼまり、クチュと白濁した粘液が送り出されてきた。

 「あん、早く入れて」。

 もう恥も外聞もなく綾さんは、自らの花びらを指で広げていた。

 俺は楽々と切っ先を花芯に押し込むことができた。

 そして想像どおり、いや、想像以上の強烈な締め上げに、襲われた。

 これは、無理にでも動くしかない。

 少し引き抜くと、精気を搾り出さんばかりに、肉が絡みついてくる。

 もう頭がクラクラしそうだった。

 首を振って、意識を呼び起こし、腰を前後させた。

 「ううっ、もうイクよ」。

 「ああん、来て」。

 「ううー、もう我慢できない」。

 「あっ、あ、来てちょうだい。来て、中に出してー」。

 ガツンと腰を押し出し、綾さんの一番深いところに先端を送り込んだ。敏感な部分が肉の壁に突き当たったのが判った。

 掴み所を求めて両手を前に伸ばし、綾さんのオッパイを鷲掴みにしたとき、最後の強烈な締め付けが愚息を襲った。

 「うーーうっ」。

 綾さんが母乳を撒き散らすのと同時に、俺のピクつく切っ先からは、青臭い汁がビュウビュウと出ていた。

 追い討ちをかけるように、彼女の括約筋は竿をしごき続けていた。

 玉の中が全部吸い取られるような錯覚を感じるほどの吸い付きだった。

 俺は綾さんとつながったまま、まだ母乳が滲み出るオッパイに突っ伏して行った。



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