真昼の情事/官能小説

  賄い付き下宿

                        蛭野譲二

   31.祭りの夜


  
 食事が終わり一息ついて表に出た。

 俺は、いつものジーパンとTシャツに着替えた。

 このときの俺としては、温泉街のオヤジみたいな格好は勘弁って感じで普段着にしたんだが、綾さんは、もちろん風呂上りに着ていた濃紺の浴衣のままだった。

 せっかくの浴衣姿でも、旅館にお決まりのトイレ下駄じゃあ様にならないと思っていたんだが、例の仲居さんが何処からか塗りの女物の下駄を出してきて貸してくれた。

 そんなこともあって綾さんは上機嫌のままだった。

 暫く歩くと、人通りが多くなってきた。

 神社へ向かう人に比べれば、帰る人の方が多かった。結果、多くの人たちと擦れ違うことになる。

 お父さんらしき人など擦れ違う男のほとんどは、浴衣の綾さんにチラリと目線を走らしていた。

 そりゃーそうだろう。洋服のときほどは目立たないが、それでも綾さんが並外れた巨乳の持ち主であることは一目瞭然だ。

 華やかな浴衣の柄に気付いて視線を向けた者たちの大半が、彼女の胸元に目を止めているようだった。

 俺は、それを嫌がるより、むしろちょっとした優越感として捉えていたと思う。

 何せ、この二、三時間ほど前には羨望の的であるオッパイを好きなだけ弄り回し、彼女の中に男の精をしこたま流し込んでいたんだから。

 祭囃子が次第に大きく聞こえるようになり、神社に辿り着いた。門前には、綿飴屋とヘリウム風船売りが陣取っていた。

 石の鳥居を潜り境内に入ると、参道は意外に広く、両側に隙間無く夜店が並んでいる。

 まだ人も多く、来る途中の疎らな町並みからは想像できないくらいの数だった。

 その人波を縫うように歩いていくと、道が直角に曲がる所で、店の並びが一旦途切れていた。

 社殿の脇になるその場所には、たくさんの絵馬が吊るされていた。

 表の絵は多くが蛇の図柄で、裏にはそれを吊るしたであろう人たちの願いが書かれている。

 願い事は、合格祈願や家内安全なども有ったが、ことのほか恋愛成就などの縁結びを願うものが多かったように思う。

 暫くの間、綾さんとそれを見ながら「ああだ、こうだ」と取り留めのない話をしていた。

 「綾さん、ほらここに安産祈願のがあるよ」。

 「えっ」。

 「『可愛い赤ちゃんが生まれますように。お乳もいっぱい出ますように』だってさ」。

 「あら、分けてあげたいくらいだわ。今の私だったら『出過ぎないように』ってお願いしたいくらいよ」。

 「とりあえず僕が飲んであげてるじゃない」。

 「でも毎日バケツ一杯くらい出てるのよ。『朝と晩だけ搾ればいいくらいになれば楽なのに』って思うわ」。

 俺は綾さんの瑞々しく張り切ったオッパイに憑かれていたから、気楽なことを言ってたが、当の本人は『けっこう大変だな』と改めて思った。

 本殿の正面に差しかかったとき、他の店とは趣を異にする露店を見つけた。

 その店は、ちょうど社殿の階段下の角にあり、白い布をピンと張った台に商品を置いていた。

 「ほら、これ見て」。

 俺の掛け声に、階段を上がろうとした綾さんが踵を返す。

 「これみんな蛇だよ」。

 「あら、本当ね」。

 その店の台の上には、とぐろを巻いた蛇の形の土鈴や少し丁寧に作られた絵馬などが並べられていた。

 絵馬にはもちろん蛇が描かれていた。一応、箱に入っていたんで、これは祈願用というよりお土産用なのだろう。

 軽い気持ちで俺は、竹の玩具を買うことにした。店のあんちゃんが手に持って面白おかしくそれを操っていたからだ。

 この玩具は、輪切りにしたような竹を釘か針金でいくつかつなげてあり、手に持って揺らすと生きた蛇のようにクネクネと動く構造になっているものだ。

 確か「たけへび」と呼ばれている郷土玩具で、全国のあちこちでも売られているものだ。

 ただ、ここのは普通のとは少し違い、手に持つ部分の細くて長い竹のところが笛になっていた。

 「へえー、そういうの好きなんだ」。

 こんなところで俺が土産物を買ってたんで、綾さんもちょっと興味深げに見入っていた。

 俺はそれを口に咥え、笛を吹きながら揺り動かして見せた。

 そのときのおどけた顔が面白かったのか、綾さんは楽しげに笑っていた。


 杏の入った水飴を咥えて、あれこれ言いながら、二人で一通り夜店を見て回った。

 綾さんが足を止めたのが金魚すくいだ。

 「私ねー、金魚すくいって、けっこう得意なの」。

 いかにもやりたそうに言ってきたんだが、俺の方は冷静だった。

 「ここで活きた金魚なんか貰っても、どうしようもないよ」。

 「あっ、そうね」。

 少し茶目っ気交じりに言って、その場は引き下がった彼女は、それでも何かで遊んでみたいって感じで、また店々を見て回っていた。

 そして次に足を止めたのが輪投げ屋だ。

 「ここなら、いいかしら?」。

 「おっ、綺麗なおねーさん、やっていきなよ」。

 俺が答える前に店のオヤジが声をかけ、ここで少し遊ぶことになった。

 まずは、二人とも一回ずつやってみることにした。

 渡された一回分の輪は三つで、二人各々がそれを投げる。

 俺はまるでダメだった。

 「どうせなら」と思ってジッポーを狙ったんだが、籐で出来た輪っかは、思いのほか良く弾み、狙いとは違う所に跳ねてしまうんだ。狙いの所に行っても半分程度引っ掛かるだけだった。

 だが綾さんは、けっこういい線まで行ってたんだ。

 「あー、惜しいなー。この角のところもちゃんとはまったらOKなんだけどなー」。

 店のオヤジの話術は巧みで、綾さんも悔しがり、続けてやることにしていた。

 腰を下げ、輪を手に持った眼差しは、真剣だった。

 いくつか輪を投げているうちに、最初きれいに整えていた浴衣の裾もやや開き気味になっていった。

 もちろん、膝はしっかりと閉じていたから、ノーパンであることを気取られるようなことは無かったと思うが、それでも店のオヤジには白い膝小僧もいい目の保養だったんだろう。

 「おねーさん、もう一回やりなよ。そうすれば今度は、輪を五つ貸してあげるからさー」。

 まだ何も取れず少し熱くなっていた彼女は、迷うことなくそれに乗せられていた。

 「おねーさん、これなんか狙い目だよ」。

 オヤジは、陳列台を横切りながら適当にアドバイスをする。

 たが、俺にはオヤジの狙いが直ぐに読めた。

 綾さんは右手で輪を投げるから、自然と身体が左を向く。オヤジはその左の方に歩いていったんだ。

 しかもオヤジも腰を落としていた。

 「上からフンワリ放るように投げな。そうそう、そんな感じ」。

 喋りながらもオヤジの目はちらちらと綾さんの膝の間を盗み見ていた。

 その目の泳ぎ具合が妙に滑稽だった。

 「あっ、やったー」。

 綾さんの声だ。

 「うん、これは充分にOKだ。おめでとう」。

 オヤジが景品を取って綾さんに手渡す。

 最後の輪で射止めた景品はプラスチックの射出成型で作られた小さな人形で、蛙を擬人化したようなものだ。ちょうど底に穴が空いていて、そこに指を入れると指人形のようになる。まあ、輪投げの景品だからいずれにしても、たいした物じゃない。


 「あー、輪投げをしただけなのに喉が渇いてきちゃった」。

 「さっき、ラムネを売ってる店が在ったよ」。

 戻り道でラムネ屋は直ぐに見つかった。

 「駿くんも飲む?」。

 「僕は、まだいいや」。

 どうせ後で、旅館に戻ったらまた母乳を飲むことになると思って、このときのラムネはパスした。

 「飲み終わったらビンは、そこに戻してね」。

 言われながらオバちゃんにラムネのビンを渡された綾さんは、早速にそれを飲む。

 その雰囲気とは似つかわしくなく、浴衣美人は二、三口でラムネを飲み干してしまった。

 「ここは蛇が神様みたいだけど、綾さんの飲み方って何かウワバミみたいだよ」。

 俺は手に持っていた蛇のおもちゃを目の前で動かして見せた。

 「やだー、人一倍喉が渇くんだから仕方がないでしょ。あっ、そうだ。まだお参り済ませてなかったわ」。

 さっき、蛇の玩具に気を取られて、本殿には参っていなかったのを俺も思い出した。

 境内を戻り、社殿に向かった。

 本殿は、境内の広さに比べると地味な感じだった。と言うか、石の階段なんかもだいぶ古びていて多少ガタツキもありそうだった。

 もうそろそろ店じまいも近い時間だったから、お賽銭を上げに来る人も疎らだった。

 二人並んでお賽銭を投げ入れた。そしてお決まりの拍手を打って一礼だ。

 「ねー、綾さんは何をお願いしたの?」。

 「ヒ、ミ、ツ」。

 「そんなこと言わないで教えてよ」。

 「じゃあ、駿くんのも教えてくれる?」。

 「うん、いいよ。だけどまず綾さんから、ね」。

 「実はねー『駿くんに可愛い彼女ができますように』ってお祈りしたの」。

 「えー、嘘だー」。

 「本当よー。じゃあ、駿くんは?」。

 実のところ何にも考えずに、ただお参りしてたんだ。

 「んー『綾さんのオッパイがあんまり張り過ぎないように。それに下にも毛が生えますように』てね」。

 「やだー、嘘ばっかり。絶対ヒミツだって言ったのにー、言うんだからー」。

 彼女がわざと怒ったような顔をして、拳を振り上げたんで、俺は走って社殿の階段を降りていた。

 それを追うように、綾さんも早足で階段を降り始める。

 ところが、それがまずかったんだ。

 「あっ」。

 綾さんの声に振り返った途端、彼女が倒れかけてきた。下駄を突っ掛けてしまったらしい。

 俺は慌てて駆け寄り、倒れてくる綾さんを何とか支えようとした。

 間一髪のところで間に合った。

 ただ、咄嗟だったんで、右手で彼女の襟を掴み、左手で胸を押し上げるような格好になってしまった。

 おまけに、俺の左手は掴みどころを求めて、ギュウギュウと彼女の胸を絞り上げてしまったんだ。

 「大丈夫?」。

 「ありがとう。寸でのところで転ばないで済んだわ」。

 「痛くなかった?」。

 「ええ、大丈夫。ちょっと襟が乱れちゃったけど」。

 綾さんは、少し露出した胸の谷間を気にして、襟を寄せて帯の下の袷を引く。

 襟を直すと、見詰めていた周りの人も大事に至らなかったことを知り、散っていた。


 石の段になった所を見つけ、二人座って小休止していた。

 綾さんは下駄を一旦脱いで、つま先の具合を確かめていた。

 「足は挫いてないみたい」。

 そう言った後、少しの間沈黙が続いた。

 「ここに来るまでって十分以上かかったわよねー?」。

 「どうかしました?」。

 「またお乳が漏れ出してきたの」。

 「さっきの僕が悪かった?ギュッと掴んじゃったから」。

 「いえ、それは仕方ないんだけど、今はブラしてないから、パッドも当ててないの」。

 「じゃあ、急いで戻ります?」。

 「十分以上も歩いてたら、浴衣がびしょ濡れになっちゃうわ。ブラで押さえてなかったからずっと揺れ続けてたと思うの。ここは薄暗いから目立たないけど、宿の人に見られたら…」。

 俺は、周囲を見渡した。本殿から斜面を少し上がった所に小さい社が在るのが分った。

 「あの社の陰は?。あそこなら、誰も居ないと思うよ」。

 俺は綾さんの手を引くようにして、立ち上がった。

 この社の付近には全く人影がなかった。地元の不良なんがたむろしてたら厄介だと思って用心深く近寄ったんだが、その心配はなかった。

 社の戸は締め切られていて、中に入ることはできなかった。

 回り込んだ社の裏は、崖の斜面との間に人が一人通れる程度の隙間になっていた。

 ちょっと埃っぽい気もしたが、軽く手で叩いて、外廊下に腰を下ろした。

 幸い社の中に明かりが点いていて、裏手でも真っ暗闇というのではなかった。

 周りを見渡し再度人の居ないことを確認すると、綾さんは襟元を引き上げる。

 少しやり難そうに右のオッパイを自らの手で持ち上げ、何とか外気に晒す。

 薄暗がりの中でも目は直ぐに慣れていた。

 張りつめたオッパイの先からは既に三筋ほどの母乳がピューッと噴き上がっていた。

 「ねえ、早く吸って」。

 要領を得ている俺は、迷うことなく綾さんのオッパイに喰らい付いた。

 乳輪の辺りを口の中で潰すと、喉の辺りにくすぐったいほどの母乳が当たる。

 俺が胸に顔を寄せてミルクを飲み下している間も綾さんは、浴衣をガサゴソとさせていた。

 左のオッパイも引きずり出して居たんだ。

 見ると、左の乳首を手で搾り、ミルクを飛ばしていた。

 「反対も吸おうか?」。

 「え、ええ、お願い」。

 右を暫く吸ったところで体勢を入れ替え、左のオッパイを吸いにかかった。

 まだ、母乳はボタボタと零れ出ていたが、噴水のような出方ではなくなっていた。

 綾さんもだいぶ楽になったのか、後ろ手を突き、あまり動かなくなっていた。

 膝も少しルーズに開き気味になっていた。

 俺はそれをいいことに、オッパイを吸いながら浴衣の裾から手を侵入させたんだ。

 指先が下の口に触れたとき、綾さんの身体がピクリとした。

 でも俺は構わず指を花弁の間に捻じ込もうとした。

 すると綾さんは俺の腕を押し止めるように押さえ込んできた。

 彼女が腕に力を入れている間、俺はオッパイを吸うのを止めた。

 腕を押さえるのが弱まったところで、また少し俺は指を押し込んだ。

 当然のように綾さんはまた腕に力を入れる。

 今度は、乳首を咥えるのも止めてみた。俺の口から解放された乳首からは相変わらず白い雫が漏れ出ていた。

 そのことに気付いたんだろう。綾さんは俺の腕を押えるのを諦めた。

 温泉の中でやったのと同じ訓練だ。

 後の俺は、オッパイを吸っている間、秘洞を弄り放題だった。

 二本の指を捻じ込ませ、綾さんの内壁の感触を暫く楽しみ続けることができた。

 「ねえ、もういいでしょ?」。

 母乳が自然に噴き出すのが止まった頃、綾さん声をかけてきた。

 「人が来たらまずいわ。それに浴衣のお尻の所にシミが出来ちゃったら、恥ずかしくて歩けないわ」。

 それでも俺は、まだ指で悪戯を続けていた。

 「ねー、お願い。後は旅館に戻ってから、ね」。

 俺はオッパイを口から離し、僅かに顔を上げる。だが、まだ指は抜かなかった。

 「駿くん、旅館に戻ったら好きにしていいから、ここではお仕舞いにして」。

 「どんなことしても、いい?」。

 「ええ、痛いのとかは勘弁だけど、今晩は駿くんのオモチャになってあげる」。

 その言葉は、俺への最高の贈り物だった。

 「じゃあ、決まりだ。早速戻ろうよ」。

 俺は綾さんの膣壁を擦るようにして抜き、糸を引く二本の指でVサインを作った。



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