真昼の情事/官能小説

  賄い付き下宿

                        蛭野譲二

   19.震度三


  
 綾さんの身体を堪能させてもらって一週間以上過ぎた頃だ。

 相変わらず母乳は飲み続けていたのだが、あの晩以来、関係は持っていなかった。

 ただ、二人の間がより緊密になったという実感はあった。

 まだ、夏の最中ってこともあるんだが、綾さんは家の中に居るときミニスカートしか穿かなくなっていた。

 二階で料理を作るときも、膝上二十センチくらいのスカートを穿いて、ハイヒールで居るのが当たり前のようになっていた。

 俺は、まだ学校も始まっていなかったし、バイトもしてなかったんで、料理を作っているときに、食堂に出て話をしていることも多かった。

 もちろん、綾さんは手を動かしてるし、流しやガス台に向かっていることも多い。

 俺がブラウスの背中やスカートのお尻を見ることになるのは、承知の上だと思うが、別に嫌がる素振りもなかった。

 少しお尻を突き出している短いスカートを眺めるのは、なんとも言えない楽しさがあった。

 ピッチリ目のスカートを穿いているときも、パンティーラインなんか見えたこともない。はっきり確認したわけじゃないが、きっとあの後もパンティーを穿くようにはしなかったんだろう。

 「このスカートの下はノーパンか」なんて思うと、不意に後ろから抱きしめて、もう大分溜まった俺の精をぶち込みたいくらいだった。

 まっ、強姦めいたことをやれば、彼女に嫌われるのは目に見えてたから、そこはかろうじて我慢していた。

 もちろん、機会はいろいろ狙ってたんだけどね。


 休み中にもかかわらず、夕食もたいてい二人で差し向かいになって食べていた。

 料理が出来上がると、エプロンをはずした綾さんが俺の正面に座るんだ。

 綾さんの服は、ほとんどいつも前留めのブラウスで、外出するとき以外は、首元から二つくらいボタンがはずされていた。

 綾さんは席に着くと、まずブラウスのボタンをはずしにかかる。

 この瞬間は、何度体験しても生唾モノだ。

 袷が広げられると、レースに飾られたブラジャーのカップが片側だけ姿を現す。

 それに手を掛けボロンとオッパイが剥き出しにされる。

 彼女のオッパイはいつも瑞々しく、食事時は計ったように張り切っていた。

 相変わらず少し照れたような表情をしながら、綾さんは母乳をコップに搾るんだ。

 片方のオッパイから軽く搾るだけで、ミルクは十分にコップを満たしていた。

 そのコップを俺が受け取ると、二人の食事が始まる。

 綾さんは一旦オッパイをブラジャーに仕舞うが、食事中はブラウスのボタンをあまり留め戻さずに居たんだ。コップのミルクを飲み干すと、直ぐにおかわりの母乳を搾ってくれるためだ。

 夕食のときだけで、俺は三百から四百ccのミルクを飲んでいたことになる。

 ただし、そのくらいじゃ綾さんのオッパイは、張りを失うことは無かった。

 夕食の片付けもすっかり終われば、毎日のように「授乳タイム」が始まるんだ。

 結局は一晩で、缶飲料二、三本分のミルクを飲むことになる。

 事実、俺は夜コーラや缶コーヒーをほとんど飲まなくなっていた。

 「あー、楽になったわ」って言う綾さんの嬉しそうな言葉を聞くために、げっぷが出るほど母乳を飲んでいた。

 因みに、この下宿生活の間に、俺の身長は五センチくらい大きくなっていたんだ。

 高校三年のときは、もうほとんど背丈が伸びなくなっていたから、これはやはり綾さんの母乳のお陰だと思う。


 おっと話が少し逸れちまった。

 この晩も、綾さんの母乳をたっぷり吸ったのは確かだが、いつもと違ったのはその直後だ。

 俺が起き上がり、綾さんがオッパイを仕舞っている最中だ。

 カタカタと物音がしたと思ったら、家全体が大きく揺れ始めたんだ。

 そう、地震だ。

 木造の二階に居た俺たちにとっては、けっこうな揺れに感じた。

 体感としてはかなりきつい地震だったが、幸いに物がバタバタ落ちたり、家具が倒れたりはしなかった。

 絶対震度四くらいあったと思ったんだが、後で見たニュースでは震度三と報じてた。

 綾さんは、ひどく地震が嫌いならしく、まだブラウスのボタンも留めていない姿で俺に抱きついてきたんだ。

 地震はたいしたことなかったし、むしろ綾さんみたいな美女に抱きつかれていることの方が嬉しかった。

 ぴったりと抱きつかれていたんで、俺の胸の脇辺りに綾さんのオッパイが押し付けられる格好になった。

 この柔らかい女体の感触によって、俺はあらぬ方向に思いを巡らせ始めたんだ。

 俺もそれとなく腕を回し、彼女の背中を抱きしめた。

 もう地震は終わっていたが、掌で背中を軽くさすってあげた。

 優しさを示すように、そうしたんだが、偽りの俺の指や掌は彼女の背中に張り付いたブラジャーの凹凸を楽しんでいた。

 「下が何とも無いか、見に行った方がいいんじゃないですか?」。

 まだ幾分不安気な綾さんに俺が声をかけたんだ。

 「そうね。悪いけど一緒に来てくれない?」。

 俺が先に立って階段を下りて行った。その間、綾さんは俺の手を握りっぱなしだった。

 一階の部屋に入る扉は、気持ち硬かったような感じだが、ドア枠が歪んだというほどでもなかった。

 部屋の中も特に荒れた様子も無く、流しの中にタワシや中性洗剤の容器が落ちているくらいだった。

 「大丈夫のようですね。じゃ、これで」。

 俺は、わざと突き放すようにそう言って、二階に戻る振りをした。

 「あっ、ちょっと待って。ねえ、もう暫く下に居てくれない?」。

 俺の勘は当たっていた。

 完全には落ち着きを取り戻していなかった綾さんは、か細くそう言ってきたんだ。

 「あ、いいですよ」。

 俺の頭の中は、押せ押せモードになっていた。

 「ただ、ここに僕がポツンと居ても、何の役にも立ちませんよ」。

 俺は、わざとソファーではなくダイニングの椅子に座った。

 「だから、こっちに来て座って」。

 ソファーに座った綾さんが、クッションを軽く叩いた。

 俺がおずおずと綾さんの隣に座り直すと、綾さんが肩を預けてきた。

 ここまで来りゃ「いける」と思った。もう既に一回、綾さんの身体を頂いてただけに自信みたいなものがあったのかもしれない。



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