真昼の情事/官能小説

  賄い付き下宿

                        蛭野譲二

   15.修理依頼


  
 夏休み中。俺は一旦田舎に帰っていた。

 生まれ育った場所なんで落ち着けるし、のんびり過ごすこともできる。

 ただ、綾さんのような美人の知り合いが居るわけでもないし、もちろんあれほどの巨乳も居ない。

 高校の頃の女友達たちを交えて飲んだりもした。大都市圏に出てる子も居て、高校のときとより化粧は格段うまくなっていたのだが、同年代の子達が何かガキっぽく見えた。

 俺を筆おろししてくれた地元信金に勤めるサセ子にも会う機会があったが、同じようなもんだ。

 サセ子との夜のお相手は、やはり里帰りして来てた友達に譲っちまった。

 結局、俺は盆の中日が過ぎて直ぐに下宿に戻ることにした。たった十日ばかり田舎に居ただけだった。


 下宿に戻ると直ぐ、一階に田舎の土産を持って挨拶に行った。

 わざわざ挨拶する必要もないんだが、親に押し付けられた食いもんやなんかの始末にも一役かってもらいたかったし、挨拶しとけば、夕飯の期待もある。

 というより、本当はもっと別の期待への確率を上げたかったんだが。

 玄関を入ると、綾さんが早速居間に招き入れてくれた。

 「随分早かったのねー。もうすっかり、こっちの暮らしに馴染んじゃったんだ」。

 「いえ、田舎にいると飲み会ばっかりで、返って疲れちゃうんですよ」。

 「飲むばっかり?」。

 綾さんがいたずらっぽく微笑んだ。

 「いやあ、酒ですよ。休み中なのが分かり切ってるから『二日酔いはヤバイ』とか言っても全然開放してくれないんですよ」。

 「お酒は、十分飲んできたんだ。じゃあ、お酒じゃないのなら、また飲んでくれるかしら?」。

 まずは、期待通りの展開だった。

 「駿くんがいない間、けっこう大変だったの」。

 「えっ」。

 「乳栓っていって、オッパイの先にミルクのカスが詰まっちゃったの。全然出ないってわけじゃないんだけど、詰まったところにつながってる分が溜まったままになっちゃうのよ。そのままほっとくと乳腺炎っていう病気になっちゃうし、どうしようかと困っちゃった」。

 「へえー、それって痛いんですか?」。

 「そりゃーもう…。だって、先が詰まってるのに後から後からお乳を造ってるのよ。本当に触るだけで飛び上がるほど痛かったわ」。

 「オッパイが出るのも大変なんですねー。で、治ったんですか?」。

 「ええ、なんとかね。スイカみたいになったオッパイの先に蒸しタオル当てたり、何やかやとやってるうちに、どうにか乳栓がとれたの。一日近く溜めてたのなんて、断乳に挑戦したとき以来だったわ」。

 目の前の巨乳がさらにはち切れそうに膨らんだところ、なんていうのは俺も是非見てみたかったが、ここでは一生懸命同情するような顔をしてた。

 「駿くんに吸ってもらうのが、やっぱり一番いいみたい」。

 俺が曖昧に頷くと、綾さんは一瞬ニコッとし、ブラウスのボタンをはずし始めた。

 この後は、お決まりのパターンだ。十日か十一日振りに綾さんの母乳を心行くまで飲ませてもらった。


 俺は母乳で腹いっぱいになって少しボーッとしてた。綾さんも久々の授乳で気持ちが落ち着いたのか、オッパイを丸出しにしたまま動かずにいた。

 この前のことを思い出し、またパイズリでもしてくれるよう頼んでみようかなんて考えてたときだ。

 トゥルートゥルーと電話が鳴った。

 「はい、熊田です」。

 綾さんが直ぐに受話器を取った。相手は例のアパートの住人のようだった。

 「それは大変ですね。直ぐに水道屋さんを呼びますから、元栓を閉めて待っててもらえます?」。

 その電話が終わると綾さんは、手帳か何かを見て直ぐに電話をかけていた。

 取り込み中に一階でボケッとしてるのも悪いと思い、ソファーから立ち上がったときだ。綾さんが声をかけてきた。

 「ねえ、駿くん。水道のこと解る?」。

 「えっ、ええ」。

 「ウチのアパートなんだけど、水道の配管から水漏れしてるみたいなの。水道屋さん呼ぼうと思ったんだけど、まだお盆で休みみたいなの、きっと営業は来週からだと思うわ。もし解るんなら、行って診て来てくれないかしら?」。

 実家に居るとき、家での修繕事は俺の担当だった。水道関係も蛇口を交換するくらいのことはできた。

 「あっ、それは構わないですけど。道具がないと無理だと思いますよ」。

 「事足りるかどうか分からないけど、道具箱があるから、ちょっと見てみて」。

 綾さんは、直ぐに部屋を出て、三、四分後に戻ってきた。手には埃のかぶったツールボクッスを持っていた。

 「これなんだけどー」。

 床に置くと布巾で鉄の箱の埃を掃いはじめた。

 俺は道具箱を挟んで綾さんの正面にしゃがみ込み、箱の中を覗き込んだ。

 中には、意外に充実した道具類が入っていた。組スパナやモンキーレンチの他、水道プライヤーやパイプレンチまで入っていた。

 おまけに、ビニール袋に包まれたシールテープやパッキン類も入っている。蛇口のコマと一緒に入ってるところから察するに水道用のパッキンらしかった。

 「これなら役に立つかもしれない」と思って、ほんの少し顔を上げたときだ。

 やはり道具箱に向かってしゃがんでいた綾さんの膝が開いてるのに気付いたんだ。

 このとき綾さんは、膝上五、六センチくらいのスカートを穿いていた。蹲踞のような姿勢だからけっこうな開き具合だった。

 ストッキングを穿いてない太股の奥までがちょうど見渡せた。

 俺は、また道具箱の中を物色する振りをして、様子を伺っていた。

 綾さんが何かを探すように首を振った瞬間だ。俺は、また目線を綾さんの膝の間に向けた。

 そして、しっかりと見ることができたんだ。

 太股のさらに奥は、太股と同じく肌色だった。突き当たりは、その肌色に皺のような縦の筋が走っていた。

 俺は明るい方を背にした位置に居たから間違えない。彼女はパンティーを穿いていなかったんだ。

 嬉しさで毛羽立つ思いだった。

 だが、このときはグッと堪えて何もアクションを起こさなかった。

 もう一度だけ、スカートの中を覗き、駄目押しの確認をして、アパートに向かうことにした。



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