真昼の情事/官能小説

  賄い付き下宿

                        蛭野譲二

   7.夢うつつ


  
 季節は、梅雨に入っていた。

 下宿人は、相変わらず俺一人で、新しい入居者が来るような気配もなかった。

 この頃は、下の入り口の鍵も渡されていて、いちいち自分の部屋の鍵を開け閉めすることもあまり必要なくなっていた。

 綾さんは、相変わらず優しく接してくれていた。

 ただ、季節のせいもあるだろうが、着るものが以前より軽やかなものになっていた。

 この頃のスカートは膝丈くらいで、たまには膝小僧が出るようなミニ丈のものを穿いていた。そういえば、彼女がジーンズやスラックスなどのパンツを穿いているのを見たことがなかった。

 また、ワンピースを着ることもほとんど無かったように記憶している。ただ、これは仕方がなかったのかもしれない。ヒップは華奢ではないにしろ、それに比べてもあの胸は巨大すぎる。おそらくサイズの合うワンピースはなかったんだろう。

 上は、たいていブラウスで、薄い色のものが多かった。極たまには、Tシャツをかぶっていることもあったが、これもやはり胸が目立つんで避けていたのかもしれない。

 季節がらか、生地も薄手のものを多く着ていた。

 これは、俺には、いい目の保養になっていた。

 胸まであるエプロンをしていないときは、たいていブラジャーが透けて見えていた。

 正面のカップの輪郭をまじまじと見るわけにも行かなかったが、彼女の背中には、いつもくっきりとホックの部分が見て取れた。

 彼女のブララインは、いつも美しく、変に上に上がっていたり、肩紐が落ちているようなことはなかった。

 正面から見ると大迫力だが、後姿は意外に清楚で、それでいて、そそられる感じだった。


 俺は、何も綾さんばかりに、心奪われて出不精になっていたってわけでもなかった。

 ある金曜の晩もコンパで、けっこう羽目をはずして、しこたま飲んでいたんだ。

 翌日は、一年生にありがちな猛烈な二日酔いを喰らっちまった。

 土曜日は、部屋とトイレの往復に明け暮れ、ろくに飯も食えなかった。

 しかも悲劇は、これだけで終わらない。

 蒸し蒸しした陽気に、布団も掛けずに寝っ転がっていた。

 そしたら、次の日は急に梅雨冷になり、風邪をひいちまった。

 悪寒が走ったのが日曜日なので医者には行かなかった。実のところ親が手続きを忘れてたために、この時は、まだ遠隔地保険証が届いていなかったんだ。

 日曜日は、カップラーメンだけでしのいで、暖かくして寝たつもりなんだが、月曜はもっと重症になっていた。

 朝になって、それに気づいた綾さんは、献身的に看病してくれた。

 枕元に冷水の入った洗面器を用意してくれたり、昼前にはお粥を作ってくれたりしたんだ。

 額に当てたタオルを交換してくれていた。彼女を俺は薄っすらと目を開け、見上げていた。

 このとき綾さんの巨大な胸が迫り、俺の肩や腕に触れていた。

 それ自体は、とても嬉しいことだったが、状況が状況だけに息子が元気になるようなこともなかった。

 せっかく作ってくれたお粥にも、結局手を付けず、同じく枕元に置いてくれたペットボトルの水も、一口飲んだかどうかくらいだった。

 もうまる二日間ほとんど寝っぱなしだったから、二、三時間眠っちゃ、ぼんやり目を覚まし、また寝るなんて状態だった。

 そんな中で、俺は一つの夢を見た。


 「あら、お粥も全然食べてないじゃない!」。

 そう言ったのは、綾さんだ。

 「これじゃあ、治るものも治らないわ。温め直すからちょっと待ってて」。

 それを聞いて俺は、力なく言ったんだ。

 「折角ですけど、喉も腫れてるみたいで、駄目みたいです」。

 「じゃあ、せめてお水だけでも飲んでおいて」。

 綾さんは、俺の首を押し上げ、水の入ったペットボトルを口にあてがってくれた。

 「ゲホッ、ゲホッ。ゴホン、ゴホン」。

 俺は、水さえ飲めないほどに憔悴しきっていた。

 「あら、困ったわねー…。そうだ!吸うくらいのことは出来るかしら」。

 俺の頭は、一旦枕に戻され、直ぐ側でガサゴソと布地の擦れるような音がした。

 そのとき目を瞑っていたので、綾さんが何をしていたのか分からない。

 「さ、もう一度頭を上げて」。

 綾さんの手が、肩と頭を押し上げ、直ぐに下ろされた。しかし、頭が落ち着いたのは、枕の上ではなく、もっと高くて暖かいもの、そう、膝の上だった。

 「さあ、吸ってごらんなさい」。

 唇に何かが触れた。

 おれは、やっと目を開けた。

 目の前には、視界を遮るように白っぽく丸いものがあった。

 目線を落とすと、口の前には、少し濃いピンクの突起が突きつけられていた。

 朦朧とした俺の頭でも、それが何であるか分かった。綾さんのオッパイだ。

 「さ、遠慮しないで吸い付いて」。

 言うが早いか、綾さんは乳首を半開きになっていた俺の口にねじ込んだ。

 普段の俺だったら、びっくりして顔を引いてしまったと思う。

 だが、夢の中の俺は、さしたる抵抗感もなく、彼女の乳首を咥えていた。

 本能だろうか、口を閉じ、そのまま乳首を吸い始めていた。

 ただ、初めは何も味がしなかったと思う。

 「それじゃあ、うまく飲めないと思うわ。もっと大きく咥えて」。

 綾さんに言われるがまま、オッパイを咥え直し、また吸うと、僅かな甘みを感じた。口の中にも生暖かい水分が溜まり始め、それを飲み下していった。

 薄く目を開けると、オッパイには綾さん自身の手も添えられ、俺が吸うのに合わせて、絞り上げていた。

 さらに上を見上げると綾さんと目が合った。

 綾さんは、ニッコリと微笑んでくれ、空いていた手で、俺の頭をなでてくれた。

 膝枕状態のまま、俺は綾さんの母乳を夢中で飲み続けた。

 どれくらいの量を飲んだか分からないが、ある程度満腹になっていたのだと思う。俺は乳首を咥えたまま、また眠りにつくのだった。


 その夢からどれほどの時間が経っただろうか?。俺は目を覚ました。

 何かその夢を取って置きたくて。綾さんのオッパイを吸った状況なんかを一生懸命イメージした。

 結局、月曜の夕方、綾さんから貰った薬を呑み。火曜日には、ほぼ回復した。



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