真昼の情事/官能小説

  賄い付き下宿

                        蛭野譲二

   3.透けたブラウス


  
 そんなこんなで、俺の下宿生活は、始まった。

 下宿には、当初もう一人下宿人が居たんだが、こいつは最悪だった。

 同じ学校の商学部に行ってるらしかったが、えらい根暗な感じで、たまに食堂で食事が一緒になっても、てんで話が弾まなかった。文系の学生って言やあ、ひょうきんさと体力が命だろうに、全然その雰囲気じゃなかった。

 土台こいつとうまくやる気がなくなったのは、入居して直ぐのことだった。

 一応挨拶に行って、親から持たされた蕎麦を渡したんだが、「ありがとう」でもなく直ぐ戸を閉めやがった。

 それから何日か経って、部屋の入口脇に、こいつのゴミが出されてた。ちゃんと括ってないコンビニ袋から、俺が渡した蕎麦が、ちょこっと開封しただけで中身がほぼまるのまんま入ってるのが分かったんだ。

 まあ、賄い付きだから食わないっていうのも解らないことはないが、「捨てるにしても、バレない様にしろよ」って言いたかった。

 しかも、燃えないゴミの日の前日だった。こいつはゴミを燃えるゴミと燃えないゴミに分ける気がまったくなかった様だ。

 俺も実家にいるときは、親が分けてたんで、あまり偉いことは言えないが、こいつのゴミを後で綾さんが選り分けているのを目撃してからは、気になって仕方がなかった。

 ただ、幸いなことに、こいつは連休が明けて五月が終わる前に下宿を出て行っちまった。

 食事が合わなかったのかもしれない。

 「あんまり残されると、作る方は自己嫌悪になりそうだった」て言う様なことを後で綾さんから聞いたのを覚えている。


 おっと、話が逸れちまった。やなヤツの話は、これくらいにして本題に入ろう。

 俺と綾さんの関係は、極めて良好だった。

 商学部のヤツが出て行ってからは、食堂で二人向かい合わせで食事をすることもたまにはあったんだ。

 俺も人並みの学生だったから、もちろん合コンなんかにもちょくちょく行ってたし、友達が居なかったわけでもない。

 ただ、もうこの頃は全くメガネを掛けなくなっていた綾さんを友達に会わせたくないっていう気持ちがあったのは確かだ。

 これも後で聞いたことなんだが、メガネを掛け、だぶだぶの上掛けを着ていたのは、一種の演出だそうだ。

 「受け入れる学生さんは、親御さんと同伴で来た人だけにしたかったの。でも、女手一人でやってる下宿屋だから親御さんを安心させる意味で出来るだけ地味な格好をしていたの」。

 これが綾さんの弁だった。

 ともかく、「美人で巨乳の大家さんの所に居る」なんて噂が広まれば、俺の部屋に入り浸りになるヤツも出てこないとは限らないので、下宿に友達を呼んだことはなかった。

 幸い「俺の所、賄い付きだから」って言えば、あえて来ようってヤツも居なかった。


 ちょっと遡るが、ゴールデンウィークが明けて、綾さんと親しくなるきっかけがあった。

 料理の用意が粗方終わったところだと思う。たまたま食堂に居た俺に綾さんが話しかけてきたんだ。

 「四十九日も終わったし、気分転換も兼ねて何かしたいと思ってたの。パソコンでも始めようかなって考えてるの。駿くんならいろいろ知ってるでしょ。それで教えてくれないかしら」。

 俺は、下宿の部屋にもパソコンを置いていたし、一応理工系ってことで、頼ってきたんだろう。

 「昔、仕事でワープロくらいはやってたから、キーボードは打てるの。でも、メールやなんかもやりたいから据え付けや設定を手伝って欲しいの。あれっていろいろ難しいんでしょ?」。

 これは好都合だった。賄いの夕食を食べないときは、午後三時までに電話することになってたんだが、彼女が家に居ないことも多かったし、携帯を持たない人だったんで連絡がとりにくかった。

 メールで連絡できるとなれば、こっちは、携帯からでも学校のパソコンからでもメールを入れれば良くなる。

 それに、電話で直接断りを入れると、心なしか彼女の返事が寂しげだったのも気が引けていた。

 土曜日にショップでの買い出しに付き合い、日曜日に初期設定やら使い方の説明をすることになったんだ。

 この買出しの時は、俺もちょっと優越感に浸れた。

 待ち合わせの駅前に行くと既に彼女は、来ていた。

 ハンドバッグを持ち、ぽつんと佇む彼女は、膝より少し長いスカートを穿き、踵が六、七センチのパンプスを履いていた。

 上は、白のブラウスに薄いカーディガンを羽織っていた。

 もちろん、ブラチラになるような着方はしてなかったんだが、元々大き過ぎる胸のふくらみは隠しようもなかった。

 周りを行き交う連中は、皆ちらちらと彼女に目をやっていた。

 そりゃそうだろう、鼻筋の通った色白美人が圧倒されるほど胸を張り出させてたんだからな。

 そこに、悠々と俺が登場したわけだ。

 彼女は、かわいく手を上げで笑顔を作ってくれた。人前で「駿くん」て呼ばれたのは、ちょっと参ったが、それでも美女とのデート気分で楽しかった。

 店内は、けっこう人もいたし、蒸し蒸ししていた。途中で彼女もカーディガンを脱いでいた。

 陳列してあるパソコンのタイピングを試していた彼女を後ろから見たときに、俺は喜んだね。薄っすらと汗の浮いたブラウスに背中がぴったり張り付いてたんだ。

 あまり薄手のブラウスじゃなかったけど、このときは、しっかり下のブラジャーが浮き出してたんだ。

 色は、白か薄いピンクだったんだろう。脇から背中にかけての部分とストラップがかなりはっきりと見て取れた。真後ろのホックの部分の両脇は、上下の白い縁取りの間に微かにレースの模様も確認できた。

 そして何よりも背中のホックの部分がすごかった。幅が五、六センチはあるんじゃないかと思う。きっとホックは三段くらいになっているだろう。そこが背中の真ん中にくっきりと段差をつけて盛り上がってたんだ。

 あれだけのオッパイだと、このくらいごっついブラジャーじゃないと支えきらないんだろう。

 そう思うと、少し息子までが元気になり出していた。

 土日は、本来食事が出ないことになってるんだが、この日の晩は、外で綾さんが食事をおごってくれた。ポーター役は、ちゃんとしたけどね。

 そんなに高級なレストランじゃなかったが、他所行きの服を着た綾さんと向かい合わせでの食事は、それなりに楽しかったよ。

 会話っていうより雰囲気かな、上品な身のこなしの彼女を眺められるのは、良かったし、自分から一メートルも離れてないところに彼女の爆乳がずうっと在ったんだからなー。

 彼女が少し前屈みになる度に、少し窮屈そうなブラウスのボタンとボタンの間から象牙色の肌がちらちら見えてたのを良く覚えてるよ。



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