真昼の情事/官能小説


  循環病棟

                        蛭野譲二

   6.ミルクの正体


  
 三日目。

 その日も眩しい光が竜一の安眠を妨げた。

 逆光の中、一人の看護婦が近付いてくる。

 ようやく目が慣れて見上げると、そこには弓子が立っていた。

 「お早ようございます。検温をお願いします」。

 弓子は体温計を差し出した。

 竜一が左の脇に体温計を挟み横を向くと、弓子は血圧計の準備をしている。

 そっと右腕を伸ばし、弓子の隙をみて、白衣の裾を捲り上げた。

 白い布が翻り、弓子の裸の股間がちらりと見えた。

 「今日もパンティーを穿いていない」、竜一はそれを見て、昨日のことが夢ではないことを確かめた。

 「血圧を計り終える前に、血圧の上がるような事はしないでくださいね」。

 瞬間、驚いた顔をした弓子は、気を取り直して軽くたしなめる。

 「また、しておいてくださいね」。

 計測が終わると、弓子が、し瓶を持上げて示めした。

 「ここは、尿検査が多いですね」。

 「この病院は、漢方の他、チベット医学も積極的に取り入れているんです。特にチベット医学では尿の状態で患者さんの体調を調べることを重視しています。そのうち別の方法に変えますけれど、今日のところはこれにしておいてください」。

 相変わらず弓子は、質問に素直に答えてくれた。


 三十分ほどして、弓子が朝食を運んできた。内容は前日と代わり映えしないが、コップの中は空で例の薄いミルクは入っていない。

 「もう、あの薄いミルクは卒業ですか?」。

 「いえ、今日からは新鮮なものを飲んでいただくようにしました」。

 しかし、トレーに載った食器以外に瓶やポットの類は無い。

 「初めての方の前だと、ちょっと恥かしいんですけど」。

 竜一が不審に思っていると、弓子が、おもむろに白衣のボタンをはずし始めた。

 ウエストのベルトの上までボタンをはずすと、襟元を開き、ブラジャーに包まれた胸を露にする。この日、弓子が身に着けていたのは、透けるようなレース地のハーフカップのブラジャーだった。

 竜一はあっけに取られてその様子を見詰め続けた。

 レースの布地に包まれた乳房は、はち切れそうで、今にも飛び出しそうな感じたった。

 弓子はさらに動作を続ける。右のブラジャーのカップに右手を掛けると、左手で乳房を引き出した。

 踊り出るように露出した乳房は、熟れ切ったマスクメロンよりも遥かに大きい。

 左手にコップを持つと、乳首の下にあてがい、右手で乳輪の辺りを挟み付けるように押さえ始めた。

 乳首の先に、白い雫が浮き出したかと思うと、それは白い筋となって噴き出し、コップの中に注がれてゆく。

 弓子は、母乳を分泌する身体だったのである。そして、あの薄いミルクの正体が母乳だったことを知ったのである。

 しかも、弓子の母乳は潤沢な様で程なくガラスのコップは、米の研ぎ汁の様なミルクで満たされた。

 「どうぞ」と言われて、竜一は我に返った。

 少々妙な気分だったが、まず弓子の身体から搾り出されたミルクを飲んでみた。生温かいが仄かな甘味がある。昨日飲んだ時の様な違和感はあまり感じなかった。

 弓子は白衣の襟を整えた後も部屋を出て行かずに、竜一の脇に立ったままである。

 「ここは長いんですか」。

 黙って食事をするのも息が詰るので竜一から話し始めた。

 弓子は二十九才で、この病院に勤めて四年になるとのことだった。

 「お子さんはどうされてるんですか」。

 すると、弓子はクスクスと笑う。

 「だってここは全寮制でしょ」。

 「私は、まだ妊娠したことが無いんです。昨日の様なこともありますから、しっかりと避妊をしていますしね」。

 まだ訝しげな顔を竜一がしていると、さらに説明を続けた。

 「ここで働いている女性は皆、ホルモン剤の投薬と針療法で、乳腺に刺激を与えているんです。そうしているとオッパイが張ってきて、半年くらいの内に、たいていの人はお乳が出るようになるんです。特にここの看護婦の場合は、患者さんに食事のお世話をすることになっていますから、母乳を出せるようにするのは必須なんです」。

 この時、竜一には一つの疑問が解けた。

 受け付け嬢がコーヒーを持ってきた時、ブラウスのボタンがはずれていたのは、おそらくコーヒーの中に彼女自身のミルクを搾って入れていたからだろう。

 弓子はさらに話を続ける。

 「院内には自動販売機などはありませんから、患者さんが飲むのは、お水か母乳に限られます。どうしてもとおっしゃれば、冷やした母乳をお持ちすることもできますが、健康上からも衛生上からも、なるべく搾りたてのを飲んでいただいています」。

 竜一が食事を終えた。弓子は、空になったコップを見る。

 「お替りは、いかがですか。私はミルクの出が良いので、たくさん飲んでくださいね」。

 「あの、チョクに飲んでもかまいませんか」。

 少々押されぎみの竜一だったが、ここで少し意地悪なことを言ってみた。

 弓子は一瞬意味がわからない様子だったが、すぐに竜一の意図を理解し、顔をやや赤くする。

 「気に入ってくださって嬉しいです。でも慣れないと少し飲みにくいかもしれません」。

 再び白衣の前をはだけ、今度は左の乳房を剥き出しにした。

 竜一は、乳房を突き出すように腰を落とした弓子を抱き寄せた。ピンクの乳首の先には既に乳汁が滲み出ている。

 乳首を口に含み、思い切り吸ってみたがミルクは思ったほど出てこなかった。弓子が乳房に手を添え搾り出すと、口に飛込んでくるミルクの量が一気に増えた。舌面を叩くチリチリとした僅かな触覚の後に薄い甘味が拡がっていた。

 一頻り飲み終え竜一が顔を上げる。

 「実は、私の場合、元々お乳の出やすい体質だったみたいなんです。ここに務めるようになって三月目には、母乳が出るようになってたんです。ミルクの出が良過ぎて、あれから何年もたつのに、未だに放っておくと勝手に噴き出してしまうんです。ですから、食事の時以外にも飲んでいただけると助かります」。

 乳首をティッシュで拭いながら、そう言うと弓子は襟元を整え始めた。



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