真昼の情事/官能小説


  循環病棟

                        蛭野譲二

   4.艶かしい白衣


  
 竜一の病室は三階に用意されていた。

 こちらも個室だが、検査病棟の部屋より広めで八畳間くらいある。トイレ兼シャワールーム付きで、テレビやビデオデッキまで備え付けられている。

 ちょっと不思議に思ったのは、介添え者用と思われる少し小さめのベッドが置かれていたことである。重傷患者を受け入れていないこの病院で、介添え人を必要とする者など居るのだろうか。

 そんなことを思っていると、部屋に一人の看護婦が入ってきた。

 竜一はその姿を見た瞬間、「やったー」と心の中で叫んでいた。

 看護婦は竜一の期待通り、いや、それ以上に露出度の高い艶かしい格好をしていたからである。

 看護婦が着ていた白衣は、前開きのボタン留めで、ウエストは布地のベルトで絞られている。襟の合せ目のVラインはぐっと深く、ほとんどブラジャーが見えそうなほどである。

 白衣の丈は極端に短く、言わば膝上二十四、五センチのミニ丈のワンピースである。

 しかも、前留めのボタンはウエストのベルトの下には一つだけで、そこから裾までは全くフリーになっている。

 歩く度に白衣の裾が割れ、チラチラと太腿の上の方までが覗けている。

 靴は、ヒールの高さが十センチ近くもある白いパンプスを履いていた。

 看護婦は、コツコツとハイヒールを鳴らして竜一の方に向かってくる。

 この看護婦も相当な美人だ。

 すらっとした長い脚やほっそりとしたウエストとは対照的に、バストはかなりの大きさだった。Vラインの間には豊かなふくらみが覗き、深い胸の谷間がくっきりとした陰をつくっている。早くも竜一の股間は動めき始めていた。

 看護婦は、竜一の前に来ると立ち止まる。そして一礼をする。

 「西岡様ですね、今度担当させていただくことになった北原弓子と申します。よろしくお願いします」。

 そして再び深くお辞儀をした。

 竜一の方も慌てて頭を下げ挨拶をした。

 顔を上げ弓子と向き合うと、先程ここへ案内してきた景子と何処となく顔つきが似ている。

 「あの、検査病棟にも北原さんがいらっしゃいましたけれど?」。

 「景子は私の妹です。ここに来てまだ日が浅いので、何かと足りない面もあったでしょうが、どうかご容赦ください」。

 馬鹿丁寧な答えが返ってきた。

 何か意味ありげな答えで、言回しにも妙に色気が漂っていた。


 二人はテーブルを挟んで椅子に座り、弓子が治療プログラムの説明を始めた。

 その内容は、食事療法と運動療法が中心となること。時間割りがきちっと決められていることなどであったが、竜一はほとんど上の空だった。

 弓子の身体や着ている白衣の隙間が気になって仕方がない。

 「急に変な質問してもかまいませんか?」。

 竜一は切りだした。

 「看護婦さんの白衣はとても色っぽいですね。ここではいつもミニスカートなんですか?」。

 不躾けな質問である。しかし、弓子はむっとした顔もしなければ、直接的な回答もしなかった。

 「患者さんに元気を取り戻してもらうのが私たちの仕事です。そのためには、どんなこともいといません。ご要望があれば何でも言ってください。ほとんどの事にはお応えできると思います」。

 「どんなことでも?」。

 竜一が念を押す。

 「はい、健康に害を与えないことなら何でも」。

 竜一の目を見据えて弓子が答える。

 「これは面白いことになりそうだ」と竜一は心の中でほくそ笑んだ。

 説明が終わると弓子が部屋から出て行こうと歩きだした。

 竜一は、弓子のお尻辺りに目をやった。白衣の後には裾から十センチくらいの切れ込みがあり、裾が揺れる度にストッキングの上の部分がチラチラと見える。

 彼女もストッキングをガーターベルトで吊っているのは間違いなかった。


 この日は、普段着替りになるジャージや替えの下着類を受け取るだけで特にやることも無かった。

 庭に出てもかまわないとの事だったので、敷地内のレイアウト確認も兼ねて周囲を見て回ることにした。

 敷地内には、テニスコートやプールがあり、患者らいしい人達を時折、見かけた。

 彼等は、たいてい女性と一緒に居た。女性の方は看護婦であったり、インストラクターらしい女性で、いずれも美人でかなり際どい格好をしていた。

 「ここは想像通り、金持ちのためのセックスランドかもしれない」などと考えながら歩いていると、いつしか日本庭園の中に入り込んでいた。

 園内を飛び石伝いに歩いていると、ピトンピトンという涼しげな音が聞こえてきた。

 すぐ先に人気があるのを感じて、注意深く近付く。

 「なるほどな、良い音を聞かせてもらった」。

 「また何時でもどうぞ」。

 男女の会話が聞こえた。

 そのまま歩いて行くと、弓子と同様に超ミニの白衣を着た看護婦と初老の男が、遠ざかっているのが見えた。

 横を見ると、そこには石桶があり、すぐ脇に石ころが敷かれていて、その中央部が濡れていた。

 少しそれを眺めると竜一は、そばにあった柄杓で石桶から水をすくい、石ころの上に流してみた。数秒の間を置いてピトンピトンという音が地面の方から聞こえてきた。

 竜一は、それが「水琴窟」であることに気付いた。石ころの下に穴を開けた壷が埋めてあり、そこに水を流すと、滴る雫の音が響いて聞こえる仕掛けになっているのである。



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